【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は7日、新型コロナウイルスが中国湖北省武漢市の研究所から流出したとの説に関し、米ローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)が「説得力がある」との見解を示した機密扱いの報告をまとめていたと伝えた。
複数の関係者が同紙に語ったところによると、報告書は同研究所の生物学を扱う「Z局」と呼ばれる情報部門が昨年5月に作成したもので、武漢ウイルス研究所からウイルスが流出した可能性について、さらに調査を進めるべきだと結論づけている。
同部門は、新型コロナウイルス感染症を引き起こす「SARS-COV-2」ウイルスのゲノム解析などを元に報告書を作成したとしている。
同紙によれば、国務省はウイルスの起源について、昨年春の時点で動物から人間へウイルスが広まったとの見方を固めていた。しかし、ローレンス・リバモア研究所が異なる見解の報告書を出したことから、同省がトランプ前政権末期の今年1月に発表した概況報告書で「武漢の研究所から流出した可能性も状況的にあり得る」と指摘する根拠になったとしている。
バイデン政権はウイルスの起源について、研究所から事故で流出した説と、動物から感染した説があるとして、情報機関に90日以内に調査報告を出すよう指示しており、この報告書に改めて注目が集まっているという。