45歳以上はケイコ支持 日系社会が見るペルー大統領選

6日、ペルーの首都リマで投票後に支持者に手を振るケイコ・フジモリ氏(AP=共同)
6日、ペルーの首都リマで投票後に支持者に手を振るケイコ・フジモリ氏(AP=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】大接戦となった南米ペルー大統領選の決選投票を現地の日系社会はどう見ているのか。アルベルト・フジモリ元大統領(82)が1990~2000年の在任中に、超インフレやテロ組織から国を救った功績を知る45歳以上が長女のケイコ氏(46)支持で固まる一方、在任中の人権侵害罪で収監された姿しか知らない若年層では敬遠する人も少なくないという。

日本ペルー協会元会長のアウグスト・イケミヤシロ氏(84)は産経新聞助手の取材に、都市部の中間層以上に支持されるケイコ氏と地方の貧困層の支持を集めるペドロ・カスティジョ氏(51)の選挙戦を通じ、ペルー社会が所得水準や居住地域で「二極分化した」ことを懸念する。

ペルーは今年、1821年のスペインからの独立200周年を迎える。新大統領の就任式が行われる7月28日が独立記念日だ。イケミヤシロ氏は「この輝かしい時に対立している場合ではない。ペルーの未来が心配だ」と語った。

選挙戦は、新型コロナウイルス危機からの回復と政治不信の払拭が争点となった。最近は政治の混迷が続いており、危機を乗り越えるために「政策、戦略を持った指導者が必要だ」と強調。政治経験のないカスティジョ氏を批判し、「次期大統領にふさわしいのはケイコ氏だ」と訴えた。

地元紙「プレンサ・ニッケイ」の社長兼編集総局長のマヌエル・ヒガ氏(70)は、「言論の自由」を支持する立場からカスティジョ氏を警戒する。同氏はマルクス主義を信奉し、マドゥロ政権が独裁体制を強める反米左翼のベネズエラを「民主的」とたたえたからだ。「(ペルーの)ベネズエラ化が起きないように」と集計作業の推移を祈る思いで見守っている。

ヒガ氏は、フジモリ元大統領が初当選した1990年の大統領選について、「当時の日系社会はフジモリ氏を支持したわけではない」と振り返った。日系人に多いという表に出ることを好まない性格から、「フジモリ氏が大統領として失敗したら、日系社会が反発を受けるといった慎重な意見が半分くらいはあった」と打ち明ける。

大統領に就いたフジモリ氏は超インフレから経済を立て直し、麻薬組織と左翼ゲリラによる混乱に歯止めをかけた。その記憶がある45歳以上の世代は「私の知る限り100%、ケイコ支持に回った」。一方で、収監後のフジモリ氏しか知らない若年層は「ノーモア・フジモリ(フジモリはもういい)」派も多いという。