ペルー大統領選 深刻な分断で大接戦 混乱懸念も

6日、ペルーの首都リマ中心部で激しい口論を繰り広げるフジモリ氏支持者(右)とカスティジョ氏支持者(共同)
6日、ペルーの首都リマ中心部で激しい口論を繰り広げるフジモリ氏支持者(右)とカスティジョ氏支持者(共同)

【ニューヨーク=平田雄介】6日に決選投票が行われた南米ペルーの大統領選は、所得水準や地域によって二極分化したペルー社会の実情を反映して大接戦となった。マルクス主義を信奉する左派のペドロ・カスティジョ氏(51)は福祉や教育の拡充を訴え、地方の貧困層にアピール。市場経済重視のケイコ・フジモリ氏(46)は政財界や都市部の中間層以上から支持を集めた。選挙結果が順調に確定せず、政情が混乱する展開も懸念されている。

ロイター通信によると、世論調査会社の出口調査でケイコ氏に0・6ポイント差をつけられたカスティジョ氏は6日夜、ツイッターに「投票を守れ」と投稿し、全国の支持者に街に出るよう呼びかけた。

カスティジョ氏は、左派のポピュリスト(大衆迎合主義者)と評され、その言動は扇動的だ。首都リマでは、ケイコ氏が僅差で勝利した場合、結果を受け入れない人々による暴動が起きるのではないかとの不安から、食料品などを買いだめする動きが出ている。

リマ南東部の貧困地域で5月下旬、カスティジョ氏とのつながりが取り沙汰される左翼ゲリラ「センデロ・ルミノソ」とみられる武装グループが16人を惨殺する事件を起こしたことも社会不安を増幅させた。

投資家の間では、すでに左派政権の誕生を警戒して資産をペルー国外に退避させる動きが広がっている。カスティジョ氏が鉱業やガス、水力発電などの企業を国有化すると公約に掲げているからだ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(6日電子版)によると、4月の第1回投票後、ペルーの通貨ソルの対米ドル相場は世界の通貨で最も大きく下落。5月のソルと米ドルの取引は前月比で約20%増えたという。

ペルーは5月末、新型コロナウイルスによる死者数を約7万人から18万人に上方修正した。人口比での死者数は世界で最も多く、医療現場ではベッドや酸素の不足が深刻だ。選挙後に混乱が起きれば、コロナ対応や、厳しいロックダウン(都市封鎖)で打撃を受けた経済の回復にも影響する可能性がある。

ペルーの昨年の国内総生産(GDP)はマイナス11・6%と中南米諸国で最悪の水準だった。