静岡知事選

川勝氏「水問題譲れぬ」岩井氏「品格取り戻す」週末の訴え振り返る

事実上の与野党対決となっている静岡県知事選は告示(3日)後初の週末となった5~6日、いずれも無所属で、現職の川勝平太氏(72)と新人で元参院議員の岩井茂樹氏(53)=自民推薦=の両陣営が、それぞれの工夫や狙いを胸に県内の現場へ訴えに繰り出した。リニア中央新幹線建設問題、経済政策、政治姿勢、県政の継続か刷新か-などの主張が熱を帯び、少人数と触れあう自転車遊説やネット選挙、国会議員の応援を得ての〝地上戦〟といった選挙戦スタイルの差も明確に。週末の動きから、2陣営の狙いや訴えの違いを振り返る。投開票は20日。

川勝氏陣営 リニア水問題〝おひざ元〟で熱弁 自転車やミニ集会にSNSミックス

川勝氏は5日、リニア工事をめぐり水資源の懸念がある大井川に近い、島田市にある商業施設「KADODE OOIGAWA」を訪れた。青のシャツ姿で登場し、木箱の上に立っての演説で「大井川流域の水の問題。これは譲れない。命の問題だ」などと語りかけ、リニア問題に多くの時間を割いた。

告示日に続く島田市入り。大井川流域であることを念頭に、トンネル工事による生態系や水質への影響に強い懸念を改めて示し、最後に「多くの人が(リニア着工を)駄目だといえば、主権在民だから知事はそれに従わなくてはならない。とても大事な選挙だ」と熱弁をふるうと、聴衆から拍手が起きた。

演説後は、たすきを外して商業施設で買い物を満喫。だがもちろん単なるショッピングではなく、牛肉などの県産品のほか山梨県産のサクランボも購入すると「(山梨県知事との)友情の証しだ」と語った。現職として、富士山に接する隣県との広域経済圏づくりを打ち出して進めている経済政策「フジノミクス」や「バイ・ふじのくに」を念頭に、地域連携の実績を強調した形だ。

日曜日の6日は小雨のなか朝から三保半島(静岡市清水区)を、シェアサイクリングサービスの自転車にまたがって遊説した。走りながら「川勝平太です」と手を振り、「静岡県を自転車の聖地にする」とアピール。続いて、地元の支援者数人と円卓を囲んで意見交換会を開き、県政への要望を聞きつつ「清水区や三保半島の地域振興に力を入れる」と訴えた。

この日の活動からは、陣営が公務と選挙活動のバランスに苦労していることも垣間見える。緊急時は知事としてすぐ県庁などに戻れるよう、遠方での街頭演説には慎重なのだ。代わりに、少人数でのミニ集会などを行い、その模様をインターネットの会員制交流サイト(SNS)で発信することで、政策や実績を広く伝える戦略だ。

この日午後には富士市のホールで個人演説会を開いたが、陣営は「これが選挙期間中で唯一の個人演説会ではないか」としている。

連合静岡の推薦を受けた川勝氏に対しては立憲民主、国民民主の両党県連が支援し、共産党県委員会が自主的支援を表明している。

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