話の肖像画

演出家・宮本亞門㉑ 「日本人の感性」を信じて


《世界で上演を重ねている演目に三島由紀夫の小説『金閣寺』の舞台化がある。ストレートプレイ(芝居)とオペラの2つ》


アメリカで『金閣寺』を上演したときには「この男(三島)の顔が見える」って。とかく、発信しない日本人の中にあって「何を考えているのかが分かる」と。三島さんは、自分のことを肉体も含めて洗いざらいオープンにして、自分の主張をした人。日本の良さや思想を伝えようとしました。

自決という死に方にはいろんなことを言う人がいるでしょうし、それが呪縛になっている面はあると思います。ただ、妥協せずに一回きりの人生を「生き切った」人だと僕は感じる。右翼とか左翼とかでもない。三島さんの「生き方」が面白いのです。

三島さんが自決前に日本という国に対してこんな言葉を残しました。「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或(あ)る経済的大国が極東の一角に残るのであろう」と…。もし三島さんが生きていたら、今の日本の姿を見てどう言うのか? 聞いてみたい気がしますね。(聞き手 喜多由浩)

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