【日本語メモ】おいしそうな?カーネーション - 産経ニュース

メインコンテンツ

日本語メモ

おいしそうな?カーネーション

校閲部が使う産経ハンドブック。赤鉛筆も必携です。
校閲部が使う産経ハンドブック。赤鉛筆も必携です。

5月9日の「母の日」。久方ぶりにカーネーションを母へ贈りました。ふだんあまり「母の日」は意識せず、それこそ気づいたら当日過ぎてしまった年もこれまでありました。今年は、長引くコロナ禍の重苦しい日々の癒やしになればと思い立ったのです。


それに関連してといっては何ですが、先月は「母の日」関係の記事を校閲しました。そのなかで、ある花卉(かき)業者さんが名付けたカーネーションのことがでてきました。

花弁の色がピンクから白に変わるという品種で、そのことに由来した名がつけられていました。名付けて「いちごソフト」。これは商標登録されており、特定商品名にあたります。

そのため、「イチゴソフト」や「苺そふと」などと記載することは誤りになります。「いちごソフト」は、この品種そのものを紹介する記事だったため特定商品名のまま記載されました。

仮に、「いちごソフト」がカーネーションを代表するような商品名になった場合、つまり特定商品名が一般にその商品を表すものとして浸透した場合、新聞表記上はどうしているのでしょうか。仮に読者が「いちごソフト」=カーネーションという認識でも、原則的に特定商品名から一般的な名称へとかえるよう筆者や出稿部にお願いしています。

さまざまな分野の有名商品の数々。その分野の代名詞のようになっていて、読んでも気づかず実は特定商品名だったということはよくあります。たとえば、「ホッカイロ」は「使い切りカイロ」「携帯カイロ」、「アロンアルファ」は「瞬間接着剤」などと言い換えているのです。

言い換えの例は校閲時に参照するハンドブックで示されているのですが、ふだん耳慣れないものもあります。漢字が連なった、創作熟語のような言い換え例も。それらを見ると「うーん、ふだんは聞かないことばだなあ。でも読んでみると意味は通るし、仕方がないのかな」とついクスッとなります。

さて、冒頭に書いた私の買ったカーネーション。ささやかな花束でしたが、母はとても喜んでくれました。あまりにも「定番」でわざわざ贈らなくても…とこれまで長く手にとりませんでしたが、愛らしい赤やピンク色に私までも癒やされました。(と)