高額すぎる葬儀に不適切ケア…福祉現場のパワハラ支配

「組織の体(てい)をなしていなかった」。今の責任者が自戒を込めて語ったその社会福祉法人は、自宅介護が困難な高齢者ら約200人の生活を預かっていた。神戸市灘区で、視覚障害者のための養護盲老人ホームなど5施設を運営する「六甲鶴寿園(かくじゅえん)」。昨年以降、無資格の医療行為など不適切なケアが相次いで発覚し、一部施設は市から1年間の事業停止処分を受けた。背景として指摘されるのが、前理事長の「力による支配」。私物化という表現では言い足りない、その実態は-。

不正の数々

弁護士らの第三者委員会が4月にまとめた法人の調査報告書。そこで認定された不正行為は多岐にわたっていた。法人の特養「きしろ荘」での無資格者による入所者への「胃ろう」(チューブで胃に直接栄養を送ること)は少なくとも2261回、「食道ろう」は約270回に及んでいた。

また、入所者に週に2回以上の「入浴または清拭(せいしき)」を行わなければ高齢者虐待防止法のネグレクトに該当しうるが、きしろ荘では実施されていなかった。

法人では慢性的な人員不足により、職員の時間外労働が常態化。労働基準監督署から是正勧告を受けても、タイムカードなどによる客観的な労務管理は行われず、職員は「時間外労働0」と鉛筆で書かされたという。

葬儀費用めぐる疑惑も

「全体的に赤なんですよ。その中で(残業を)付けるということに関しては、はばかられてもらわれへんかな」

はばかる(=遠慮する)という独特の言い回しで、時間外労働を申告しないよう要求したのが、当時の女性理事長Aだった。夫のBも常務理事を務め、法人での権限は絶対的だったとされる。

たとえば法人の定期昇給は1ランク(施設長は3500~4250円)ずつと決まっていたが、Aに関してはある月に一気に21ランク(8万6500円)もアップ。給与上限額に達した後もさらに引き上げ、月に62万9千円の支給を受けた。65歳定年後も、内規で必要な理事会の決議なく給与を受け取り続けた。

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