孤高のスプリンター山県 コーチも加え心身充実で日本新 - 産経ニュース

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孤高のスプリンター山県 コーチも加え心身充実で日本新

陸上男子100メートルで9秒95の日本新をマークし、笑顔でポーズをとる山県亮太=6日午後、鳥取市のヤマタスポーツパーク陸上競技場(代表撮影)
陸上男子100メートルで9秒95の日本新をマークし、笑顔でポーズをとる山県亮太=6日午後、鳥取市のヤマタスポーツパーク陸上競技場(代表撮影)

いったんは「9秒97」と表示された速報タイムがしばらくの静寂の後、「9秒95」の公式記録に切り替わった。端正な山県亮太(28)=セイコー=の表情が満面の笑みに変わる。6日、鳥取市のヤマタスポーツパーク陸上競技場で行われた陸上の布勢スプリント。男子100メートル決勝で長年挑み続けてきた「10秒の壁」をついに突破し「予選からタイムが出て可能性はあると思っていた」と胸を張った。

予選で10秒01をマークし、目標だった五輪参加標準記録(10秒05)を突破した勢いに乗った。中盤まで多田修平(24)=住友電工=に先行されたが、フォームを崩さず、終盤にかわしてゴール。初めて体感した9秒台を「足が回転に追いつかない感覚があった。まだこのスピードに体が慣れていないんだと思う」とうれしそうに振り返った。

9秒台を意識し始めてから8年。早くから注目を集める存在だっただけに「重い十字架を背負っている」と話したこともある。2017年に桐生祥秀(25)=日本生命=が日本人選手で初めて9秒台に突入してから、サニブラウン・ハキーム(22)=タンブルウィードTC、小池祐貴(26)=住友電工=にも先を越された。一方で自身は、気胸や足の故障などアクシデントの連続。「もう続けられない」とくじけそうにもなった。

大学時代からコーチを付けずに一人でトレーニングを積んできた孤高のスプリンター。現状を打破するため、今年2月から慶大の先輩でもある高野大樹コーチ(32)の指導を仰ぐようになった。練習メニューを自ら考えるスタイルは崩さず、体の状態などを相談できるパートナーを求めた。高野コーチも「まだ期間は短いけど、笑顔も多くなって仲間がいる感覚があったのかな」と話す。

もちろん、これがゴールではない。次の目標は東京五輪代表の座をつかむこと。ライバルは多いが「追い風1メートル以内でも9秒台を出せるように精度を上げていく」と山県。自信を身に付け、次へと自らを駆り立てた。(丸山和郎)