超党派「日豪友好議員連盟」(逢沢一郎会長)が、自民党の安倍晋三前首相と麻生太郎副総理兼財務相を最高顧問に、甘利明税調会長を顧問に起用する方向で調整していることが5日、分かった。複数の議連関係者が明らかにした。中国が東・南シナ海で活動を活発化させる中、日豪両国は安全保障などの分野で連携を強めており、3氏の就任はオーストラリア重視のあらわれといえる。
議連は8日に国会内で開く会合で役員改選などを行い、3氏の就任を正式に決める方針。安倍氏と甘利氏は新加入で、麻生氏は顧問からの昇格となる。関係者は「首相として日豪関係強化に尽力した安倍氏に最高顧問に就いてもらう」と説明した。
中国の軍事的台頭に直面する両国は近年、協力関係を強化している。政府は4日、平成30年10月以来、9回目となる豪州との外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を9日にテレビ会議方式で開催すると発表した。法の支配など「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、安全保障や防衛協力などについて協議する予定だ。2人の首相経験者が議連の最高顧問に就くことで、豪州重視の日本の姿勢が改めて浮き彫りとなる。
第2次安倍内閣で政府の中枢を担った3氏は姓の頭文字から「3A」と呼ばれ、結束が強い。米国をはじめ友好国とのサプライチェーン(供給網)構築などを目指す自民の半導体戦略推進議員連盟では会長を甘利氏が務め、安倍氏と麻生氏は最高顧問に就いた。3氏のそろい踏みは、外交・防衛、経済安全保障戦略の分野で菅義偉首相を後押しすることにもなりそうだ。