拉致問題特別委、2年以上質疑なし - 産経ニュース

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拉致問題特別委、2年以上質疑なし

日本政府が北朝鮮による拉致問題を「最重要課題」に掲げて久しいが、被害者家族らには国会の熱意が伝わってこない。拉致問題特別委員会では2年以上も質疑が行われていない。拉致被害者の横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=の父、滋さんの死去から1年。家族らは議論の高まりを願う。

拉致問題特別委員会は衆参両院に設置され、衆院では25人、参院では20人の国会議員が所属する。

滋さんの死去から1週間後の昨年6月12日、衆院の拉致問題特別委員会が開催された。委員らは黙禱(もくとう)後、菅義偉(すが・よしひで)拉致問題担当相、茂木敏充外相、武田良太国家公安委員長(いずれも肩書は当時)が所信を述べたが、委員会は14分で終了。参院でも15日に集まったが、黙禱後、菅氏と茂木氏が拉致問題の近況を述べただけで、10分で散会した。

この1年で拉致問題特別委員会は衆参で9回ずつ開かれたが、いずれも委員から担当閣僚らへの質疑はなかった。衆院は令和元年5月17日、参院では同月29日がそれぞれ質疑のあった最後の回だった。

誤ったメッセージ

衆院の特別委員会の委員で、立憲民主党の渡辺周幹事長代行は現状について、「北朝鮮に対し『日本での拉致問題に対するトーンが下がっている』という間違ったメッセージを伝えかねない。与野党を超えて、もっと議論の場を設けるよう努力すべきだ」と話す。

質疑が行われていない背景には、外相、拉致問題担当相、国家公安委員長の関係3閣僚の日程調整が、新型コロナウイルス対応や他の委員会、法案の審議などで難しくなっていることがあるとみられる。

誰が責任を取るか

被害者家族からは、いらだちや不信の声が上がる。

田口八重子さん(65)=同(22)=の長男、飯塚耕一郎さん(44)は「コロナ収束後を見越し、解決への動きをどう加速させ、家族を救うのか。今、具体的に検討してほしい」。めぐみさんの弟の拓也さん(52)は「拉致は主権を侵害された、いわば戦争を仕掛けられたのと同じ。その状況を放置していることの意味を、もっと真剣に考えてもらいたい」と話す。

有本恵子さん(61)=同(23)=の父、明弘さん(92)は「国全体にやる気が感じられない」と断じる。

滋さんの死去から1年に際し、取材に応じた田口さんの兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(82)は、こう述べた。「誰が責任取るのかと。何もしなければ(家族は)自然に亡くなっていく。それは最初から分かっていたこと。そうなったときに大騒ぎしても遅いんです」