児島未散さんが歌手復帰 27年ぶり新作アルバム

コツコツと

失意の日々、CDもラジオも聞かないで過ごした。が、ある日、テレビからクラシックピアニスト、辻井伸行さんの演奏が聴こえてきた。気がつくと泣き崩れていた。圧倒的な感動だった。

「音楽って、やっぱりいいなと思ったんです。ああ、私は、歌いたい」

「厳しくても、険しくても、思いを貫こう」。東京都内のライブハウスを拠点に、小さなライブから歌手活動を再開させたのが28年。

「初日は、お菓子を与えられた子供のようにはしゃいでいました」と笑う。SNSで事前告知したところ、「本物ですか?」と当時のファンが駆けつけてくれたのが、うれしかった。

「途中、休んでいるので大きな声でいうのは申し訳ないですが、7月でデビュー35周年なんです」とはにかみながら、記念のアルバムを制作した。27年ぶりの新作「Sing for you…」だ。10曲入りで、「セプテンバー物語」「ジプシー」「マリンブルーの恋人達」という過去の持ち歌も名刺代わりに再録した。

「海外の方のSNSを拝見すると、シティポップ・ブームで、私の過去のアルバムを持ってる方もいる」と、従来のサウンドを踏襲した。甘く繊細な歌声も35年前と変わらない。インディーズ盤だが、大手CD店やネット通販で誰でも買える。

「コロナ禍で大きなイベントはできませんが、少しずつでもライブを重ねて、活動を再開したことをお伝えしていきたい」

大きな夢はない。ただ、今度は、音楽の喜びをかみしめ、いつまでも歌い続けたい。

5日午後7時半から都内のライブハウスから無観客ライブをオンライン配信する。チケットは3千円(税込)。詳細と予約はhttps://www.rakuya.asia/schedule

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