児島未散さんが歌手復帰 27年ぶり新作アルバム

歌手活動を再開した児島未散さん=東京都大田区(石井健撮影)
歌手活動を再開した児島未散さん=東京都大田区(石井健撮影)

「ジプシー」などのヒット曲で知られ、女優としても活躍したが、22年前に芸能界から姿を消した歌手、児島未散(みちる)さん(54)が、27年ぶりの新作アルバムを発表した。デビューから数えれば35年。「歌いたい気持ちがふつふつとわき上がった」と語る。歌手活動再開への思いを聞いた。

期待のサラブレッド

すらりとしたスタイルは、当時と変わらない。

それもそのはず。児島さんは、宝田明さんと児島明子さんの長女。東宝ニューフェースで「ゴジラ」など映画やミュージカルで活躍する大俳優と、アジア初のミスユニバースの間に生まれたサラブレッドは、最近はやりの〝2世タレント〟のはしりといっていいかもしれない。

昭和60年、高校3年生で歌手デビュー。芸能界入りは注目された。

デビュー曲は作詞家、松本隆さんと作曲家、林哲司さんのコンビが担当。竹内まりやさんのヒット曲「SEPTEMBER(セプテンバー)」を手がけたコンビは、児島さんのために「セプテンバー物語」という曲を書いた。第二の竹内さんとしての活躍が期待されていたことがうかがえる。

児島さんのデビューアルバム「BEST FRIEND」も松本さんと林さんのコンビが全曲書き下ろしたが、この2人がまるごと関わったアルバムは後にも先にもこれだけだ。

だが、平成2年にシャンプーのCMに使われた「ジプシー」のほか大きなヒットには恵まれなかった。女優として人気ドラマに出演したが、10年に渡米すると、そのまま芸能界から姿を消した。

いまの業界では無理

「自分が本当にやりたいことは音楽。渡米したのは、音楽に対する新しいアプローチを探すためでした」と児島さんは明かす。

西海岸で3年半ほど暮らし、英語を学び、当地のラジオ局やレコーディングスタジオを見学するなどし、コンサート制作など裏方として音楽の世界に携わろうと決めた。

しかし、「帰国したら日本の音楽業界は、私が歌っていた頃とはさま変わりしていました」。音楽の世界で仕事を見つけられないまま、子育てなどに追われ、時間は過ぎた。

だが、音楽への未練は残った。渡米から15年ほどが過ぎた頃、「やはり、もう一度歌いたい」と一念発起。音楽業界の知人に相談を持ちかけたが…。

「当時と声が全く変わっていないのがいい。応援したいが、いまの音楽業界でやっていくのは相当厳しいと思う」

現実の厳しさが、骨身にこたえた。未練の残り火も消えた。

「このとき、きっぱりと音楽をあきらめました。脱力感で、そこからしばらく記憶がない」

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