島を歩く 日本を見る

「自立」選び離島の雄に 小値賀島(おぢかじま、長崎県小値賀町)

海に向かって鳥居を構える小値賀島の地ノ神嶋(ちのこうじま)神社。遠くには世界文化遺産に含まれる野崎島が見える
海に向かって鳥居を構える小値賀島の地ノ神嶋(ちのこうじま)神社。遠くには世界文化遺産に含まれる野崎島が見える

平成16年、市町村合併が促進される「平成の大合併」と呼ばれる時期に、小値賀島(長崎県小値賀町)は佐世保市との合併について住民投票を行った。その結果、島単独で生きる道を選んだ。島の財政問題や生活水準向上の期待よりも、尊い地域資源を守りたいという思いが勝り、これを機に島は変わったという。

五島列島の北部にある小値賀町は、佐世保市の西方約60キロに位置する。海底火山が噴火を繰り返してできた火山群島で、ほぼ全域が西海(さいかい)国立公園に指定されている。

かつては大陸と日本をつなぐ海上交通や国際交易の要衝であり、江戸時代に紀州から移り住んだ藤松家をはじめ、壱岐島(いきのしま)から移住した小田家など複数の鯨組(くじらぐみ)が組織され、明治にかけて捕鯨業が発展して栄えた。

定期船が発着する笛吹地区は、情緒的な漁港や商店街がノスタルジックだ。迷路のような路地を歩けば、老舗の活版印刷所やハガツオをいぶす工場などに出くわす。

昔のままと思えるような穏やかな時間が流れるが、小値賀島は他の地域から「離島観光のパイオニア」と呼ばれるほど、努力の島である。