「少子化10年前倒し」出生数80万人割れ現実味

厚生労働省(厚労省)が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関(佐藤徳昭撮影)
厚生労働省(厚労省)が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関(佐藤徳昭撮影)

厚生労働省が4日に発表した人口動態統計(概数)によると、令和2年に生まれた子供の数(出生数)は84万832人と過去最少だった。妊娠から出産までの期間を考慮すると、今回は新型コロナウイルス禍の影響が限定的だったが、コロナ禍に伴う経済的な不安や受診控えなどで出産を遅らせた影響は、3年に本格化する可能性が高い。出生数の80万人割れが現実味を帯びる。(坂井広志)

「コロナ禍で婚姻件数や妊娠届け出数に減少傾向が見られ、出生数にも影響が出始めるなど、少子化の進行は危機的な状況だ」

坂本哲志少子化対策担当相は4月26日の経済財政諮問会議でこう強調した。配布した資料には、出生数について「令和2年12月頃から新型コロナ感染症の影響が出始めている可能性」と明記した。

自治体が受理した2年の妊娠届は過去最少の87万2227件。2年後半から3年にかけての出生数に反映されるため、3年の出生数が70万人台になることが濃厚となっている。2年の結婚件数が52万5490組と戦後最少を記録したことも、出生数の行方に暗い影を落とす。

コロナ禍の影響で雇用情勢は悪化し、感染を恐れ受診控えが広がった。里帰り出産は難しくなり、出産環境も変化。さらにリモートワークが進み、出会いの機会は減少した。

第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは「結婚の数が減り、晩産化も進むというトレンドは続いている。出生数が趨勢(すうせい)的に落ちてきている中で、新型コロナ禍が減少を加速させている」と分析。3年の出生数を77万4000人と試算している。

国立社会保障・人口問題研究所の平成29年推計によると、出生数が80万人を割るのは令和12年と予想している。3年に80万人を割れば、少子化が約10年前倒しで進んでいることになる。

少子高齢化は今後一層進み、令和7年には団塊世代(昭和22年~24年生まれ)全員が75歳以上の後期高齢者に移行。令和22年には第2次ベビーブーム世代(昭和46年~49年生まれ)全員が65歳以上になる。その間、20~64歳は急減する。

人口の動向は年金や医療などの社会保障制度の持続可能性と密接にかかわっている。星野氏は「新型コロナ禍の人口に与える影響が長引けば、社会保障制度にインパクトを及ぼす可能性がある。長引かせずに、しっかり元に戻せるかどうかが焦点だ」とみている。

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