東京五輪の聖火リレーが4日、新潟県糸魚川市を皮切りに県内で始まり、同市の最初のランナー、お笑い芸人の横沢夏子さん(30)が〝トーチキス〟で富山県からの聖火を引き継いだ。1日目は雨の中、81人のランナーが同市、上越、柏崎、佐渡、十日町、南魚沼各市の公道計約16キロを新型コロナウイルス対策を徹底したうえで駆け抜けた。
糸魚川市は新潟県の西端に位置し、富山県と接している。平成28年に起きた大火で市街地3万平方メートルを焼失し、復興に取り組んでいる。同市出身の横沢さんは「厳かな雰囲気で緊張したが、糸魚川のみなさんの応援に勇気づけられた。第一子を産んでから初めて糸魚川に帰ってきたが、空気はおいしく、地元のみなさんも温かくて、変わらない故郷はいいなと心の底から思った」と笑顔をみせた。
続く上越市は、戦国武将の上杉謙信の居城(春日山城)があったことで知られる。前回の東京パラリンピック(昭和39年)陸上に出場し、銀、銅メダルに輝いた山城一雄さん(83)ら12人が2・6キロをつないだ。
柏崎市は〝水球のまち〟として知られ、今回の東京五輪に4人の日本代表選手を輩出している。ラグビー女子で五輪に出ることが夢という、県内ランナーで最年少13歳の中学2年、佐野陽和(ひより)さんら若いランナーがリレーを盛り上げた。
走り終えた佐野さんは「最初は緊張したが、走っているうちにだんだん楽しくなっていった」と満足げだった。
このあと、聖火は海を渡り佐渡市へ。世界文化遺産登録を目指す史跡佐渡金山からスタートする最初のランナーを務めたのは、大学時代に2回、箱根駅伝に出場している同市出身の岩原正樹さん(44)。現在は県外で暮らす岩原さんが故郷の道を快走した。
聖火は再び新潟本土に戻り、豪雪地帯で知られる県南部の十日町市へ。平成26年のソチ冬季五輪に出場した宮沢大志(ひろゆき)さん(29)=スキー・クロスカントリー=と、中島由貴さん(31)=バイアスロン=が故郷を駆け抜けた。
この日最後の区間はブランド米コシヒカリの有名産地、南魚沼市。5日が誕生日というお笑い芸人、おばたのお兄さん(32)が1日目のトリを務めた。ゴールの八色(やいろ)の森公園に到着すると、初日を無事走り終えたことを祝うイベント「セレブレーション」が開かれた。(本田賢一)