話の肖像画

いつの日かトニー賞を 演出家・宮本亞門⑲


《『太平洋序曲』は米演劇界最高の権威、トニー賞4部門でノミネートされた。だが、演出家としてノミネートは無し》


正直、悔しかったですね。周りは「(ブロードウェーで)4、5本やって初めてノミネートされるのが当たり前なんだから」と慰めてくれましたが、個人としてノミネートされたのは、衣装デザインのコシノジュンコさんらで、僕はノミネートされていないのだから…。

そういう意味では「苦味」も「苦痛」も味わった作品だったといえるでしょうね。同時に僕がやりたいのは、分かりやすいエンターテインメントじゃない。舞台でも映画でもそうですが、たとえ政治的なものであっても、風圧に負けない、倒れないでやっていくのが僕の生き方なんだ、と思ったのです。

トニー賞ですか? もちろんいつかは取りたいですよ。僕はまだ(ブロードウェーでは)“一発屋”にすぎません。だから、『カラテ(ベスト)・キッド』をブロードウェーでやるのです。(聞き手 喜多由浩)

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