5月の百貨店売上高は西低東高 必需品定義「明確化」求める声

新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言に伴う自治体の休業要請の影響で、大手百貨店の5月の業績が東西で明暗が分かれる結果となった。昨年は1度目の緊急事態宣言の結果、ほとんど営業ができなかったが、今年5月は一定の制限の中で営業ができたことから、東京都内の店舗は前年同月比で大幅な増収となった。しかし大阪府内の店舗では減収も目立つ。「生活必需品」の定義をめぐり、売り場の範囲が店舗によって異なったためで、専門家からも明確な定義を求める声があがっている。

4月25日からの緊急事態宣言では、5月12日からも東京都と大阪府が独自に大規模施設に休業要請を実施。百貨店は、生活必需品売り場を除き、休業を余儀なくされた。

特に大阪では4月中旬に1日当たりの新規感染者数が1千人を突破、都の感染者数を上回るなど警戒感が高かった。食料品と医薬品に限った営業にとどめる店舗が多く、土日は完全休業する店も。大阪府内の百貨店関係者は「自治体からの休業要請の趣旨を重く受け止めた」と振り返る。

一方、都内では、宣言期間当初から営業範囲が店によってまちまちだった。5月中旬以降は、各店で生活必需品の範囲を見直し、高級ブランドの売り場も再開させる動きが拡大。これに都が待ったをかけると、ブランド売り場は再休業になった。ただ、生活雑貨や衣料品は再開させるなど、駆け引きが続いた。

こうした背景から、大手百貨店4社が6月1日発表した5月の既存店売上高(速報)は、新型コロナ感染拡大前の令和元年5月と比べて約3~5割減少したものの、昨年5月比では約1・6~約2・6倍にそれぞれ増えた。

ただ大阪の店舗は苦しみ、大丸松坂屋百貨店は、大阪府内の3店舗中2店舗が前年割れ。高島屋も全3店舗が減収となった。また大阪市内の阪急阪神百貨店や近鉄百貨店なども前年を下回った。

根拠のあいまいな休業要請をめぐっては、「どの程度の効果があるのか」など、業界からいらだちの声も上がる。実際、都によると、個別の施設の休業がどの程度、感染抑止に寄与したかのデータもないという。

日本大学危機管理学部の福田充教授は「生活必需品の定義が各地で変わるのはおかしい。行政は事業者にデータと戦略を示し、必要な対策について理解を得るべきだ」と話している。(加藤園子、山本考志)