中国の民主化を求める学生らが弾圧された1989年の天安門事件から4日で32年となった。民主化運動を主導した学生リーダーの一人で台湾在住のウアルカイシ氏が3日、台北市内で産経新聞のインタビューに応じ、「中国の人権状況は著しく悪化しており、香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などで天安門事件のような弾圧が日常的に行われている」と訴えた。そのうえで「国際社会には中国で起きている人権の災難を止める責務がある」とし、欧米や日本が中国への圧力を強めるよう求めた。(台北 矢板明夫、写真も)
32年前の天安門事件が今の中国に与えた影響について、ウアルカイシ氏は「中国共産党は、私たちの民主化の要求を拒否しただけではなく、事件以降、政治改革への試みをすべてやめてしまった。痛恨の極みだ」と述べた。さらに「政権への不満や意見を言う人をすぐに投獄するというやり方は、事件の後遺症といえる」と分析した。
最近の新疆ウイグル自治区をめぐる情勢について「多くの人が強制収容され、生死不明の状態だ。この問題について国際社会はもっと関心を傾けるべきだ」と語った。自身もウイグル人であるウアルカイシ氏は「ウイグル人は非常に陽気な民族で、昔なら海外で集まると、一緒に笑って歌うことが多かったが、最近の集まりはとにかく暗く、一緒に泣くこともある。どの家庭にも強制収容されている身内がいるからだ」と語った。