「こども庁」創設も幼保一元化踏み込まず 器づくり先行 自民緊急決議案

「こども・若者」輝く未来創造本部の会合であいさつする二階俊博幹事長=3日午後、東京・永田町の自民党本部(鴨志田拓海撮影)
「こども・若者」輝く未来創造本部の会合であいさつする二階俊博幹事長=3日午後、東京・永田町の自民党本部(鴨志田拓海撮影)

自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部が3日にまとめた緊急決議案は、「こども庁」の創設を政府に求める一方、幼稚園や保育園、認定こども園の所管を「こども庁」に統合する「幼保一元化」には踏み込まず、器づくりが先行する形となった。

決議案は、医療・保健・福祉・教育・警察・司法など広範な分野にまたがる子供に関わる政策について「省庁横断で推進すべき」と書き込んだが、幼保一元化には触れず、所管が異なる「幼稚園、保育園、認定こども園の施設類型や、それらに通っていない子供も含め、就学時の学力や育ちの格差を生じさせず、底上げする方策を検討する」との表現にとどめた。

踏み込めなかったのは、菅義偉(すが・よしひで)首相が4月、「こども庁」創設に意欲を示すと、文部科学省や内閣府による縄張り争いが表面化したからだ。

待機児童の解消や就学前教育の充実を図る有効策として、文科省所管の幼稚園と厚生労働省所管の保育園の一元化を求める声は以前からある。だが、省庁再編に直結することから両省や幼稚園、保育園双方の関係団体、族議員が強く反対。幼稚園と保育園の枠組みを残しつつ、両方の機能を有する認定こども園が内閣府にできた経緯がある。

文科相経験者は「結果的に3つの施設類型に分断されてしまった。省庁再編には大変なエネルギーが必要だ」と「3元行政」になった背景を振り返る。

今回も文科省と内閣府が自分たちの府省が有利になるように組織案を作って動き出した。当初の案には「10年後に施設類型を統合する」「教育と福祉を提供する先生の免許資格を統一する」と踏み込んだ記載があったが、反対意見が相次ぎ消えた。閣僚経験者は「一元化しないでどうやって教育の質を担保するのか」と漏らす。

決議案は「こども庁」を関連府省庁の「プラットフォーム」と位置付けるが、具体的な体制は示されていない。厚労省幹部は「福祉と教育の連携は課題だが、利害調整は難しい」と語る。長年の課題を放置したままで抜本的な教育改革ができるのか疑問符が付く。(長嶋雅子)