人の思いを背負い、オール巨人さんが歌う「夢浪漫」

歌手としても活動するオール巨人さん。紅白歌合戦出場という夢を追う=大阪市中央区(渡部圭介撮影)
歌手としても活動するオール巨人さん。紅白歌合戦出場という夢を追う=大阪市中央区(渡部圭介撮影)

「オール阪神・巨人」で相方のオール阪神さんとともに、漫才界で揺るぎない実績を築いてきたオール巨人さん(69)。歌手としての顔を併せ持ち、2月には約5年ぶりとなるシングル曲「夢浪漫(ろまん)」をリリースした。カップリングで収録されている2曲は、発売2カ月前に亡くなった作詞・作曲家の中村泰士(たいじ)さんが手掛けた。年末のNHK紅白歌合戦の出場という夢を追う歌手の背中には、さまざまな人の思いが宿る。

ほんまの気持ち歌詞に

巨人さんは張りのある声を武器に昭和57年、「あんじょうやりや」で歌手デビュー。強さと弱さが同居する男の哀愁を歌い続けてきた。NHKのラジオ番組「ラジオ深夜便」を飾る「深夜便のうた」に使われた「男の子守唄」(平成28年)は話題となり、今回リリースした「夢浪漫」(作詞・作曲=オオガタミヅオ)も今年2~3月の深夜便のうたに採用された。

オール巨人さんのシングル「夢浪漫」。カップリングの2曲は中村泰士さんが手がけた
オール巨人さんのシングル「夢浪漫」。カップリングの2曲は中村泰士さんが手がけた

「今年、古希です。古い希望というか、夢のまた夢のまた夢ですが、紅白に出られたらいいな。紅白という夢に挑戦できるのは、これが最後の曲かなと思っています」

話芸に生きる人間として、歌うときも客に噓はつきたくない。提供された曲の歌詞に違和感があれば、隠さずに伝えてきた。自分と同世代を意識して作られた今作の歌詞も、変更してもらった点があるという。

例えば1番の結び「ようやく花が咲きそうだ」は、もともと「花が咲きました」だった。「まだ、花が咲いてないと思っている人にも、まだまだ咲かせようという人にも、応援歌になればと思って。ほんまの気持ちを歌いたくて変えてもらって、僕の生きたままを描いた歌詞になりました」

偽りのない歌詞に仕上がった歌を、どうしても届けたいところがあった。「男の子守唄」をリリースした後に、手紙を寄せてくれた長崎県の介護施設だ。

手紙を送ってきたのは施設の女性スタッフ。介護している女性入所者が、同作を毎日のように聴いていて「みんなが歌えるようになりました」とつづられていた。