海保、対中で尖閣対応強化 カギは他国との連携 中国公船最長並ぶ

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で3日朝、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺での中国当局の船の確認は111日連続となり、平成24年9月の尖閣国有化後、最長だった昨年の111日連続と並んだ。尖閣周辺は海保にとって警備上の「一丁目一番地」だ。これまでも対応を進めてきたが、中国側の脅威も増しており、専門家は他国との連携の必要性を指摘する。

同庁は平成28年4月、第11管区海上保安本部(那覇)に、尖閣周辺の領海警備を専門とする「尖閣専従体制」を整えた。20ミリ機関砲などを備えた1500トン級の最新型巡視船10隻とヘリコプター搭載型巡視船2隻をそろえ、約500人の乗組員を確保した。

同年12月には、尖閣警備体制の強化や、大規模事案の同時発生時への対応力増強を掲げた「海上保安体制強化方針」を策定。6500~6000トン級の大型のヘリコプター搭載型巡視船などの製造を進め、一部はすでに稼働を開始している。尖閣専従ではないものの、11管側の要請に応じて派遣する形で運用。中国公船は4隻1組で航行するケースが多いが、海保は「常時、上回る隻数で対応できている」とする。

一方、中国は今年2月、海警局の武器使用条件を定めた「海警法」を施行した。中国の主張する「管轄海域」内で、外国の組織・個人に管轄権が侵害された場合、武器使用を含む一切の必要な措置を取ることが可能としている。

中国側はこの管轄海域に尖閣周辺が含まれると認識しているとみられ、今後、より強硬な対応に出てくる可能性もある。

海上保安行政に詳しい明治学院大の鶴田順准教授(国際法)は、フィリピンやインドネシアなど、日本と同様に中国側の敵対的な海域侵入行為にさらされている他国の存在をあげた上で、「日本が各国の海上保安機関をリードし、海上保安能力の向上を図っていく必要がある」としている。

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