コロナワクチン開発、周回遅れの国内企業 最終段階の治験がネックに

バイオ医薬品製造会社「UNIGEN(ユニジェン)」に設置されているタンク。塩野義製薬が開発するワクチンの生産を担う=令和2年10月、岐阜県池田町
バイオ医薬品製造会社「UNIGEN(ユニジェン)」に設置されているタンク。塩野義製薬が開発するワクチンの生産を担う=令和2年10月、岐阜県池田町

ワクチンの国内開発・生産に関する日本の国家戦略がまとまり、新型コロナウイルスワクチンの開発を進める国内製薬企業は実用化を急ぐ。海外に比べて周回遅れといわれる国内勢だが、最速で年内の実用化を掲げる企業も出てきた。ただ、数万人規模で行う臨床試験(治験)の最終段階が課題となっており、実用化の時期は不透明感が漂う。

年内実用化の見通しを示したのは、遺伝子組み換えタンパクワクチンの開発を進める塩野義製薬だ。すでに年間1千万人分の生産体制を構築。年内には3千万人分以上への引き上げを目標として、生産体制の増強も進める。

手代木功社長は5月の記者会見で「日本の方々の役に立てるような状況にかなり近づきつつある」と述べ、治験が順調に推移していると説明した。ただ、塩野義の年内の実用化見通しは特例的に早期に承認を受けることも前提にしている。

また、通常のプロセスでは最終段階の治験がカギとなる。世界各地でワクチン接種が進むなか、数万人規模の治験を実施できるかは不透明だ。治験では偽薬も使用するが「すでにワクチンがある状況なのに、偽薬を使うことに倫理的な問題が出る可能性もある」(業界関係者)。また、塩野義の年内の実用化見通しは、特例的に早期に承認を受けることも前提にしており、さらに不透明感が増している。

1日に閣議決定された国家戦略でも薬事承認の迅速化が盛り込まれており、緊急事態で特別にワクチン使用を認める制度に関し「本年中に方向性について結論を出す」とした。

承認までのスピードが実用化を左右するのは、ほかの製薬企業でも同様で、第一三共は「早期承認制度が実現すれば令和4年の実用化が目標」とする。

3月に治験を始めたKMバイオロジクスは、令和5年度の実用化を目標としている。早期承認制度ができれば、前倒しできる可能性がある。

そのほか大阪大発の医療ベンチャー、アンジェスも治験を進めている。

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