職場・学校接種を解禁 収束へスピード勝負 - 産経ニュース

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職場・学校接種を解禁 収束へスピード勝負

記者会見する河野行革相=1日午前、東京都千代田区
記者会見する河野行革相=1日午前、東京都千代田区

政府が21日から新型コロナウイルスのワクチン接種を企業や大学でも始めることで、菅義偉(すが・よしひで)首相が「コロナ対策の切り札」と位置付けるワクチン接種は国を挙げた総力戦に入る。1日の発表では具体的な手続きが明らかにできないなど万全の準備が整っているとは言い難いが、混乱を恐れずスピード勝負を挑む政権の姿勢が鮮明になった。

先月31日夕、職場・学校接種の日程を確認するため、官邸に関係閣僚が集まった。河野太郎ワクチン担当相らの説明を聞いた首相はこう後押しした。

「どんどんやってくれ」

1日当たり100万回接種の目標を掲げる首相だが、5月7日の表明当初は達成に懐疑的な見方が強かった。だが、政府は自衛隊を活用した大規模接種センターを東京と大阪に設置し、都道府県独自の大規模接種も後押しする。接種の担い手に関しても、医師・看護師以外に歯科医師や救急救命士、臨床検査技師にも認め、薬剤師には予診でのサポートを求めた。

これに企業や学校での接種を加えることで、総動員体制の構築を図る。接種機会の多様化などで「1日100万人」に目途が立ち、政府高官は「目標達成は最初からいけると思っていた」と自信を示す。

ただ、総動員体制は走りながらの設計となっているのが実態だ。希望する企業が国に相談する窓口について、加藤勝信官房長官は「具体的な仕組みは早々に政府からお示しさせていただきたい」と述べるにとどめた。

接種対象は企業など実施する側に任せるが、正社員と非正規社員、アルバイトといった雇用形態で差が出れば混乱の元となりかねない。こうした懸念に対しても、加藤氏は「常識にのっとり公平性の観点に立って対応していただく」と語るだけで、具体的な防止策は示さなかった。

政府ががむしゃらにスピードアップを目指すのは、接種が進むイスラエルや英国などで感染者数が目に見えて減少しているからだ。菅内閣の支持率は感染状況に影響を受けて上下してきた。ワクチン効果で感染者が減少すれば支持率上昇につながり、秋までに行われる衆院選や次の自民党総裁選で、首相が有利となるとの計算も働く。担当閣僚の一人はこう強調した。

「今は混乱よりスピードだ。多少、お叱りを受けてもスピード重視でやるのが大事だ」(千田恒弥、大島悠亮)