ワクチン特許放棄、国内製薬業界は反対 「前例」に警戒感 - 産経ニュース

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ワクチン特許放棄、国内製薬業界は反対 「前例」に警戒感

米ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン(ロイター=共同)
米ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン(ロイター=共同)

新型コロナウイルスのワクチン特許の一時放棄を米国などが支持したことに、国内の製薬業界は否定的な論陣を張る。日本製薬工業協会(製薬協)は品質が保証されないワクチンが出回ることなどを理由に「(特許の一時放棄は)製薬協の意見とは異なる」とするコメントを発表。研究開発費用が回収されないことや、将来の特許放棄の「前例」となることへの不安も指摘されている。

製薬協は5月7日に発表したコメントで、設備が整っていない環境で製造されたワクチンで副反応が発生する危険性や、原材料不足への影響に言及。業界では研究開発費が回収できないと新薬開発が進まないとの意見も根強く、ワクチン開発に取り組む塩野義製薬の手代木功社長は「特許を放棄すれば低中所得国の人たちにワクチンが届くというのは間違っている」と強調する。

武田薬品工業元常務で、大学や企業の知財戦略を支援する「知的財産戦略ネットワーク」の秋元浩社長は、製薬業界の反対について「技術やノウハウの流出を避けたいのが本音だろう。コロナだけでなく『次もその次も』と特許放棄の前例になることへの懸念もある」と指摘した。

そのうえで、人道上の配慮を踏まえた落としどころとして「世界貿易機関(WTO)や国連などの国際機関が買い上げて途上国に供給すればよい。製品だけでなく、冷凍保存する設備や注射をする人的支援も合わせて行うことが重要だ」と述べた。