「財政非常事態」 高齢化の進展が原因 

「財政非常事態」を宣言し、構造改革プランの改訂を進める阪南市役所
「財政非常事態」を宣言し、構造改革プランの改訂を進める阪南市役所

大阪府阪南市が令和4年度決算で赤字に転落する見込みとなり、「財政非常事態」を宣言して行財政改革の練り直しを余儀なくされている。高齢化の進展で社会保障関連経費が想定を超えるペースでふくらむ一方、人口減少で市税収入の落ち込みも予想されている。行政サービスの見直しは不可避の状況だ。

市が財政非常事態を宣言したのは2月18日。3年度決算で貯金に当たる「財政調整基金」を10年連続で取り崩さざるを得ない見込みで、新型コロナウイルス感染対策費などを考慮すると、基金残高が4年度決算で底を突くことが明らかになった。このままでは、実質収支は同年度で4200万円の赤字に転落する。さらに赤字が膨らみ続けると、7年度には財政健全化法に基づく「早期健全化団体」に転落し、財政再建のため市民生活が大きな影響を受けるおそれがある。

背景には、社会保障費の増大に歯止めがかからない事情がある。平成12年から令和2年までの20年間で、市の生産年齢人口(15歳以上、65歳未満)が全人口に占める割合が70・1%から55・5%まで低下する一方、高齢者人口(65歳以上)の割合は13・8%から33・1%まで上昇。一般会計から後期高齢者医療・介護保険の特別会計への繰り出し金は、平成20年度から令和元年度までの11年間で約2倍になった。

市はこれまで、行財政改革として、これまで下水道使用料やコミュニティーバス事業費の見直しなどを行ったものの、市職員の給与カットなど市民生活に影響の少ない取り組みが中心だった。「今後は暮らしに影響がある改革にも取り組まざるを得ない」と説明する。

現在、市が管理する公共施設は公民館や体育館、小・中学校、保育所などを含む約75%が築30年を超えているが、財源不足でこれらの施設の建て替え・改修費をまかなうことが難しく、統廃合を検討せざるを得ない状況だ。

市は現行の構造改革プランを9月に改訂し「15年後に財政健全化できる姿を描く」との方針で、6月18日から骨子案について市民向け説明会を開催する。

水野謙二市長は「現状のプランでは5年以上持ちこたえられない。自然災害に備えるためにも健全な財政が必要。ICT(情報通信技術)化と同時に、市民参加のまちづくりを進めるなど業務を効率化し、税収増加につながる企業誘致を進めたい」と話している。