【北京=三塚聖平】中国共産党は31日、1組の夫婦が3人目の子供を出産することを認める方針を示した。現在は原則2人までだが、少子高齢化が加速して国力低下に直結する人口減少が迫っていることに対応する。ただ、経済的な負担の大きさを理由に第2子を望まぬ夫婦も多く、当局の思惑通りに出生数が安定するかは不透明だ。
中国国営新華社通信によると、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席(党総書記)が主宰した政治局会議で方針を表明した。同会議は、さらなる産児制限の緩和について「人口構造の改善や、高齢化に積極的に対応する国家戦略の実行に有益だ」と強調。3人目の出産容認と同時に、保育サービスや出産休暇、教育コストの削減など関連する政策の改善や強化を進める方針を示した。
中国は人口増加を抑制するため1979年に一人っ子政策を導入。段階的に緩和した後、2016年に全ての夫婦に第2子を持つことを認めた。ただ、廃止された16年の年間出生数は増えたものの、その後は減少傾向が続く。国家統計局によると、20年の出生数は約1200万人で、19年比で18%の大幅減だった。
都市部を中心に生活費や教育費が高騰しており、経済的な理由から出生数が増えていないと指摘される。3人目の出産容認に対しても、ソーシャルメディア上では「2人だって育てられない」や「出産の問題ではなく、教育や住宅、就職など総合的な問題だ」といった批判的な意見が目立つ。
政治局会議は「結婚適齢期の青年の結婚観、恋愛観、家庭観に関する教育指導を強化する」とも強調している。