低い伸び率の防衛予算 自民、抜本的増額求めるも厳しい財政事情

東京・永田町の自民党本部
東京・永田町の自民党本部

8月末が期限となる令和4年度予算の概算要求に向け、防衛費の規模が焦点になっている。自民党国防部会などは、概算要求で防衛費を抜本的に増額するよう提言をまとめた。防衛費は9年連続で増加し、過去最大を更新しているが、厳しい国家財政もあり、伸び率は諸外国と比べても低調だ。軍拡を背に覇権主義的な動きを強める中国の動向など、厳しさを増す安全保障環境に見合っていないとの指摘も強い。

国防部会が5月24日にまとめた提言では、中国の国防費が2000年以降、10倍以上に膨らみ、現在は日本の約4倍となっていると強調した。さらに諸外国の国防費の伸び率に言及しつつ「防衛費を抜本的に増額すること」を求めた。

令和3年度予算の防衛費は5兆3422億円で、米軍再編関連経費などを除いた対前年度の伸び率は1・1%だった。これに対し、今回の提言では、2020年度の国防費の対前年伸び率が米国は5・4%▽中国6・6%▽韓国7・4%▽ロシア10・0%-だったとして、日本の伸び率が低いことを強調している。

国内総生産(GDP)に占める防衛費の割合の低さも顕著だ。

昭和51年に三木武夫内閣が防衛費を国民総生産(GNP)の1%以内に抑えることを閣議決定し、「1%枠」ができた。中曽根康弘内閣が62年度から1%枠を撤廃したが、近年で防衛費がGDPの1%を超えたのは平成22年度のみで、令和元年度は0・9%だった。

防衛白書によると、同じ時期の米国は3・05%▽中国1・25%▽韓国2・44%▽ロシア2・75%-だった。

もっとも、日本の財政事情を考えれば、防衛費の抜本的増額は容易ではない。急激な少子高齢化で社会保障費が急増。新型コロナウイルスの感染拡大で財政出動も増え、7年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するとの政府目標は困難との見方が支配的になっている。

社会保障費を除くと、予算規模は公共事業費、文教・科学振興費、防衛費の順で大きいが、3年度の公共事業費は前年比で26億円増、文教・科学振興費は57億円増に対し、防衛費は547億円増と突出していた。抜本的に防衛費を増やせば他の予算を削ることになり、防衛省幹部は「省庁間のバトルは避けられない。来年度に抜本的に防衛費を増やすのは難しい」と話す。(大橋拓史)

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