自民、国会議員VS地方組織に苦悩 次期衆院選に不安要素

自民党の二階俊博幹事長=5月31日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)
自民党の二階俊博幹事長=5月31日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

衆院議員の任期満了まで5カ月を切る中、各地で自民党所属の国会議員と地方組織との対立が表面化し、党本部が頭を悩ませている。自民は組織力を生かした選挙戦を得意とするが、足並みが乱れたままでは次期衆院選などに悪影響を及ぼしかねないためだ。党選対幹部は「特に地盤の弱い国会議員は地元の支援なしには戦えない」と述べ、早期に関係修復を図る必要性を強調した。

「それぞれの地域にときとして意見の違いや対立があるが、選挙までにきちっと意見をまとめたい。自民党はあくまでも一つだ」

二階俊博幹事長は31日の記者会見で、次期衆院選では党が一丸となって臨む態勢を作る考えを強調した。

内輪もめの火だねは各地でくすぶっている。衆院徳島1区では、現職の後藤田正純衆院議員を次期衆院選で公認しないよう、党徳島県連が所属県議24人全員の署名を添えて、党本部に申し入れた。後藤田氏が飯泉嘉門徳島県知事と県議会を「なれ合い関係」などと批判したことが原因だ。

後藤田氏は県連の動きを「県民不在、党員不在のお粗末な独り相撲だ」と反発している。山口泰明選対委員長は申し入れを受け、後藤田氏と面会して「お互い大人の対応を」といさめたが、関係改善に向けた歩み寄りはみられない。

兵庫県知事選(7月18日投開票)でも、保守分裂の動きが顕在化している。県連は新人の前同県副知事の推薦を一旦決めたが、同県選出の国会議員団は別の新人の前大阪府財政課長を推した。党本部も国会議員団に追随し、前大阪府財政課長に推薦を出した。兵庫県議会では、一部の県議が自民会派を離脱する事態に発展し、長らく一枚岩だった県連に亀裂が入っている。

広島では、令和元年参院選で生じた党本部と県連との溝が残ったままだ。党本部が県連の意向に反して河井案里前参院議員=自民離党=を擁立し、当選した河井氏が公職選挙法違反罪で有罪判決を受けたこともあり、現在も「ほぼ絶縁状態」(党幹部)という。

党本部から河井氏の陣営に提供された1億5千万円の選挙資金について、二階氏が一時期「関係ない」と発言したことにも反発が広がる。中本隆志県議会議長は「県民をこれほど侮辱した発言はない」と激怒した。二階氏はその後、資金を支出した責任者は「党総裁および幹事長」と語って軌道修正したが、双方の緊張関係は続く。

菅義偉(すが・よしひで)内閣の支持率は新型コロナウイルス対応への不満などを背景に下降傾向にあり、秋までに行われる次期衆院選は自民にとって逆風となるとの見方もある。自民選対幹部は「地方組織と国会議員が一枚岩にならないと取りこぼしが出てくる」と危機感を募らせている。(広池慶一)