フジモリ氏長女猛追 ペルー大統領選6日に決選投票

【ニューヨーク=平田雄介】6日に実施される南米ペルー大統領選の決選投票まで1週間を切った。4月の第1回投票で首位に立ち、その後の世論調査でも優位に選挙戦を進めた教職員組合出身のペドロ・カスティジョ氏(51)による左派政権誕生への警戒心が広がる中、アルベルト・フジモリ元大統領の長女で中道右派のケイコ・フジモリ氏(46)が追い上げている。

ペルーの調査会社ダトゥムが5月25~27日に実施した世論調査の支持率はカスティジョ氏が41・6%、ケイコ氏が41・5%で拮抗(きっこう)。4月11日の第1回投票後、一時は14ポイント超のリードを許したケイコ氏が猛追し、3度目の挑戦で、「ペルー初の女性大統領」の椅子に迫っている。

ケイコ氏を後押しするのは、都市部の富裕層や、市場経済を重視する政財界だ。鉱業や水力発電、通信部門の国有化などを公約に掲げるカスティジョ氏による左派色の強い政権運営への恐れが強まっている。

カスティジョ氏は2017年に教職員組合の代表として大規模なストライキを指導し、ベネズエラの反米左翼マドゥロ政権を「民主的」と称賛。キューバ、ニカラグア、ボリビアなどの中南米の左派政権への共鳴を隠そうともしない。

さらには1980~90年代にペルー国内で頻発したテロで約7万人の死者を出した左翼ゲリラ「センデロ・ルミノソ(輝く道)」の残党とのつながりも取り沙汰され、国民の間でカスティジョ氏は「極左」「全体主義者」ではないかという疑念が強まりつつある。

こうした情勢を踏まえ、ケイコ氏は「ペルーが共産主義の手に落ちるのを防がなければならない」と強調。90~2000年の在任中にセンデロ・ルミノソと「トゥパク・アマル革命運動(MRTA)」の二大左翼ゲリラ掃討作戦を展開し壊滅状態に追い込んだフジモリ元大統領の後継者として、自らを新型コロナウイルス流行に伴う経済苦から「国民を救出する強い指導者」として演出することで劣勢を挽回したとみられる。

ケイコ氏は、かつて父の政敵だったノーベル賞作家で国民的な人気の高いマリオ・バルガス・リョサ氏(85)の支持も得ている。在任中の人権侵害事件で服役中のフジモリ元大統領を「独裁者」と批判するバルガス・リョサ氏は、当選すれば父を恩赦すると公言しているケイコ氏も警戒するが、カスティジョ氏よりは「ましな候補だ」と評価する。

バルガス・リョサ氏はスペイン有力紙パイスなどに掲載したコラムで、カスティジョ氏が当選したら「ペルーは共産主義的な社会になり、全体主義者の手に落ちてしまう」と警告。ケイコ氏なら「ペルーの民主主義を救える可能性がある」として投票を呼びかけた。