対面で新しい人間関係を築くのが困難な状況に置かれている上、SNSを使えばプロフィルやリンクから所属大学を簡単に割り出せる。さらに「いいね」などの機能で共感を示し、興味や関心のある分野を探りながら相手に近づくことができるからだ。
公安調査庁によると、オウム真理教の後継団体「アレフ」も近年、SNSやビデオ通信システムなど非対面での勧誘活動を活発化。まずは素性を隠した上で、イベントやボランティアへの参加募集を装って接触している。同団体は昨年、約60人の新規入会者を獲得したとみられるが、うち7割近くが34歳以下の若者だったという。
オンラインでの勧誘は誰からも目撃されないため、人知れずカルトに入会してしまう恐れがある。軽い気持ちでも一度入会すれば抜けるのが難しく、これまでの対人関係が崩壊したり多額の金銭を搾取されたりするケースも少なくない。
こうした状況を踏まえ、各大学はホームページなどで注意を喚起。日本脱カルト協会も保護者向けにカルトの危険性や注意点などをまとめたパンフレットを今年2月に作成し、配布している。
西田教授は「まずはカルトに対する予備知識を持ってもらうことが重要。保護者の意識も高めて、ささいな変化に気づいてもらって子供たちを守ってほしい」と強調。その上で「トラブルの多いオンラインセミナーなどを社会的に監視する手立ても必要だ」と話している。(江森梓)