コロナ下で若者の孤独感につけ込むカルトの誘い

書店で勧誘活動を行うアレフの信徒ら(右の2人)。コロナ下でSNSを使った勧誘が活発になっている(公安調査庁提供)
書店で勧誘活動を行うアレフの信徒ら(右の2人)。コロナ下でSNSを使った勧誘が活発になっている(公安調査庁提供)

新型コロナウイルス下で自粛生活が長引くなか、孤独感を抱える若者の心につけ込もうと、カルトが会員制交流サイト(SNS)上で勧誘に動いている。素性を隠して相手に近づき、思想を探りながら共感を引き出せるとあり、SNSはカルトにとって都合のいいツールだ。オンラインでの授業が続き、孤立しがちな大学生が狙われやすくなっており、専門家は「カルトの危険性を改めて周知していく必要がある」と警鐘を鳴らしている。

送り主は大学の先輩

《良かったら、サークルのアンケートに協力してもらっていいですか?》

昨年7月、東京都内の大学に通う大学2年の男子学生(19)は、ツイッターでこんなメッセージを受け取った。まだ入学してまもなく、新型コロナの影響で授業がすべてオンラインで行われていたころ。送り主は同じ大学の先輩らしく、所属学科も表記されていた。「身元も明らかになっていたので、怪しいとは思わなかった」

アンケートには、関心のある社会問題は何か▽サークルのホームページにどんな印象を持ったか▽困っていることや先輩に聞きたいことはないか-といった設問が並んでいた。答えると、サークルの説明会に誘われた。

カルトが関連しているとみられるサークル関係者から、男子学生に届いたメッセージ(一部画像処理しています)
カルトが関連しているとみられるサークル関係者から、男子学生に届いたメッセージ(一部画像処理しています)

男子学生はなんとなく億劫(おっくう)に感じて参加しなかったが、後に別の人がこのアンケートに対する注意喚起を促すツイートをしているのを見て、カルトが関連しているとみられるサークルと分かった。「コロナ下になってから、SNS上で一から人間関係を作ることに抵抗がなくなった。暇だったら説明会に参加していたかもしれない」と振り返る。

ボランティア募集を装い

日本脱カルト協会代表理事の西田公昭・立正大教授(社会心理学)は「コロナ下で人に会えないという寂しさや息が詰まる思いを皆抱えており、カルトにつけこまれやすくなっている」と指摘する。そんななか、若年層の信者獲得を目指すカルトにとって、格好のターゲットになっているのが大学の新入生だ。

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