幼い介護者ヤングケアラー支援でじゃりン子チエ起用検討中(2/2ページ) - 産経ニュース

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幼い介護者ヤングケアラー支援でじゃりン子チエ起用検討中

こうした中、大阪市も5月にPTを発足させた。まずは市民にヤングケアラーという言葉や存在を知ってもらうため、内部で検討されているのが、大阪ゆかりの漫画「じゃりン子チエ」を活用した啓発だ。

大阪の下町を舞台に、小学5年の女児、チエちゃんが周囲の大人や子供たちとの人情あふれる人間関係の中で、たくましく生きる姿を描いた作品。ばくち好きで働かない父親に代わり、「ホルモン焼き屋」を切り盛りする様子はヤングケアラーに見えなくもない。

ある市職員は「チエちゃんは、店の手伝いで勉強や遊びといった子供らしい部分が奪われている」と指摘。アニメ版では「ウチは世界一不幸な少女や」というのがチエちゃんの口癖だったが、「周囲から孤立しているわけでもなく、ヤングケアラーといえるのか」といった意見もあり、評価は割れているという。

定義に不明確さも

一方、濱島教授は「問題を認識してもらう入り口としては悪くない」とした上で、「ヤングケアラーの定義が難しいのは、法的な位置づけがまだ定まっていないせいもある」と語る。

諸外国でも明確になっていないといい、英国では18歳以上をヤングアダルトケアラー、18歳までをヤングケアラーとし、オーストラリアは25歳以下とするなど年齢要件の観点から見てもさまざまだ。

だが、「子供は家庭の労働力」とする古い価値観を放置したままにはできない。進学や就職など人生の節目に影響を与えるケースが報告されている。

濱島教授によると、小学生のときから精神疾患のある家族の世話を強いられた女性の場合、学校に通うことができなかったため、10代後半で確認されたときには読み書きができない状態だった。流行の話題についていけず、うまく友人関係が作れず孤立する事例も珍しくないという。

「人生の基礎を築く時期を失うと、取り戻すのは容易ではない」と濱島教授。自身も関わる大阪市のPTについて、「実態を把握し、早期の支援につなげることが重要だ」と語る。(小泉一敏)