世界保健機関(WHO)は中国に配慮して台湾の年次総会へのオブザーバー参加を拒否した。思い出したのは「ストックホルム・シンドローム(症候群)」である。テロリストなどに拘束された人質が、食べ物の提供やトイレの許可を出す犯人に対して感謝の念が湧き、次第に好意的な印象をもつようになることを指す。
中国は武漢発で新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)を引き起こし、世界を大不況に陥らせた。すると習近平政権は発展途上国に中国産コロナワクチンを供給し、インフラ投資も引き受ける。
中国産ワクチンは副反応を恐れる中国人民には評判が悪く、政府が食用油の土産付きで接種を呼びかける始末だが、コロナ感染拡大を恐れる国々にとってみれば「干天の慈雨」になる。不況と外貨不足に悩む発展途上国は橋や高速道路などの建設を中国に委ねる。途上国の多くが中国に「感謝」し、WHOは中国の言いなりになった。