主張

強制着陸 ベラルーシの暴挙許すな

ベラルーシのルカシェンコ政権が、自国領空を飛行していたアイルランドの旅客機を強制着陸させ、搭乗していた反体制派ジャーナリストを拘束した。

ベラルーシは「機内に爆発物がしかけられた」との情報があったと主張しているが、信憑(しんぴょう)性に乏しい。政権に不都合なジャーナリストの拘束を目的に、戦闘機まで動員して強制着陸させた疑いが濃厚だ。

ベラルーシの反体制派弾圧はもとより許されない。強制着陸はさらに、国際的な「空の安全」のルールを脅かす暴挙である。国際社会は速やかに、制裁を含む断固たる措置をとらねばならない。

民間航空の国際原則を定めたシカゴ条約によれば、締約国には領空を通過する旅客機の航路を決める権限がある。しかし、独裁国が恣意(しい)的な理由で、外国民間機の飛行を危険にさらした今回のケースは全く別の話だ。

アイルランド機は欧州連合(EU)加盟国のギリシャからリトアニアに向かっていた。EUは今回の件を「国家によるハイジャック」と非難し、ベラルーシ航空会社によるEU乗り入れを禁じた。ベラルーシへの追加経済制裁も発動する方針だ。米国も制裁を発動すると発表した。

日米欧の先進7カ国(G7)の外相は27日、強制着陸と拘束を「最も強い言葉で非難する」との共同声明を出し、「報道の自由への攻撃」としてジャーナリストの即時釈放も求めた。日本も強い姿勢で臨まなくてはならない。

対照的なのが、ルカシェンコ政権の後ろ盾であるロシアだ。露大統領報道官は「ロシアには(強制着陸は正当だったとする)ベラルーシの主張を疑う理由がない」と擁護し、ジャーナリストの拘束も「内政問題だ」としている。

ベラルーシで昨年夏、大統領選の不正に抗議する大規模な反政権デモが起きて以降、プーチン露政権はルカシェンコ氏支援を鮮明にしてきた。同様の反体制運動が自国に波及するのを恐れ、ベラルーシの弾圧に加担するプーチン政権の動きは容認できない。

ロシアはアジアと欧州をつなぐ空の大動脈だ。ベラルーシの暴挙を是認すれば、ロシア上空を飛行することの安全性にも諸外国から疑問符をつけられよう。プーチン政権は国際社会の一員として責任ある行動をとるべきである。