主張

わいせつ教員 法の厳格運用で子供守れ

わいせつ教員を教壇に立たせないための新法「教員等による児童生徒性暴力等防止法」が今国会で成立した。

わいせつ行為で懲戒免職となる教員は後を絶たない。子供に深刻な「心の傷」を負わせた教員を二度と学校に戻してはならず、新法の成立は、ひとまず前進である。

現行の教員免許法では、教員が懲戒免職になっても最短で3年たてば免許を再取得できる。これに対し新法では、わいせつ行為を「性暴力」と定義し、都道府県教育委員会に免許の再交付を拒否できる裁量権を付与した。

具体的には、各教委は専門家らによる「教員免許再授与審査会」を新たに設け、その意見を聞いたうえで再交付を判断する。いかなる性暴力も許さないとする新法の趣旨に照らし、わいせつ教員を再び教壇に立たせることがないよう徹底する姿勢が求められる。

文部科学省は昨年、教員免許法の改正により、わいせつ行為で失効した免許を再取得できないようにしようとした。だが、禁錮以上の刑でも執行終了後10年で消滅する刑法の規定や、憲法に定められた「職業選択の自由」に反するとの考えから、今国会での改正案提出を断念した経緯がある。

これを受け、自民、公明の与党ワーキングチームが超党派の議員立法を目指し、野党の賛同も得て全会一致で可決した。

国が乗り越えられなかった「壁」も、教員免許を交付する各教委の裁量権という形なら法制上の矛盾はない。議会の工夫で成立にこぎつけた。

問題は、この新法を厳格に運用できるかどうかだ。再交付の判断に、各教委でばらつきがあっては困る。文科省には、わいせつ教員の現場復帰を許さない明確な基準づくりを求めたい。

信頼する先生から性被害を受けた子供のショックは大きい。沖縄県では平成25年、中学3年時にキスなどをされた女子生徒が1年後に自殺した。大分県でも31年、みだらな行為をされた女子高生が自殺を図った。命はとりとめたが、今も意識不明の状態が続く。

この現実を、教育関係者は厳粛に受け止めるべきだ。

新法が成立しても、それで被害がなくなるわけでない。新法をきっかけに、子供への性暴力を絶対に許さないとする意識を、社会全体で高めなくてはならない。