イスラエルの環境彫刻家、ダニ・カラヴァン氏死去、90歳 世界文化賞「ネゲヴ記念碑」「大都市軸」 - 産経ニュース

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イスラエルの環境彫刻家、ダニ・カラヴァン氏死去、90歳 世界文化賞「ネゲヴ記念碑」「大都市軸」

ダニ・カラヴァン氏
ダニ・カラヴァン氏

自然や都市など環境と一体となった壮大な作品で知られ、第10回高松宮殿下記念世界文化賞(彫刻部門)の受賞者でもあるイスラエルの環境彫刻家、ダニ・カラヴァン氏が29日、同国テルアビブで死去した。地元メディアが伝えた。90歳。

イスラエル建国前の1930年、テルアビブで生まれ、著名な造園家だった父親の影響を受けた。フィレンツェ(伊)やパリ(仏)で絵画とフレスコ画を学び、米ニューヨークで舞踏家、マーサ・グレアムらの舞台美術を手がけた。

その後、彫刻家のイサム・ノグチやブランクーシらの影響を受け、環境彫刻へと表現を展開していった。それらは砂漠や公園といった環境と一体になった大規模なもので、抽象的なかたちが特徴。「私の作品は他の場所に移せば死んでしまう。置かれた場所で息づくのだ」と生前語っていたように、その場所から着想して制作され、陽光や木や水、風も含めて、訪れる人が全身と五感で感じられるものを目指していた。

カラヴァンの国際的評価を不動のものにしたのは、テルアビブ近郊の砂漠の高台にある「ネゲヴ記念碑」(63~68年)。自身の経験から平和への思いは強く、スペイン・ポルトボウの岸壁に向かって鋼製の箱を設置した「パッサージュ ヴァルター・ベンヤミンへのオマージュ」(90~94年)では、ナチスの手から逃れてこの地で死んだ哲学者を悼んだ。他の代表作に、パリ近郊の都市、セルジ=ポントワーズを貫く全長3キロ以上、制作約40年にわたる「大都市軸」などがある。

日本でも、札幌芸術の森美術館(札幌市)や室生山上公園芸術の森(奈良県宇陀市)、霧島アートの森(鹿児島県湧水町)などに周囲の自然を取り込んだ作品がある。