米国防予算、太平洋抑止強化へ5600億円要求

28日、米バージニア州で記者会見するバイデン米大統領(ロイター)
28日、米バージニア州で記者会見するバイデン米大統領(ロイター)

【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米政権は28日公表した2022会計年度(21年10月~22年9月)予算教書で、総額7150億ドル(約78兆5000億円)の国防総省予算のうち、中国をにらんだインド太平洋地域での米軍の抑止力強化のための「太平洋抑止構想」(PDI)向けに約51億ドル(約5600億円)を要求した。21会計年度の国防予算の大枠を定めた国防権限法に盛り込んだ約22億ドルから倍以上の増額。

国防総省は予算要求に関する説明書で中国を「米国および同盟・パートナー諸国に対する重大かつ長期的な安全保障上の脅威」と位置づけた。また、「中国はこの数十年間、軍の近代化を積極的に進め、米軍が地域で戦力を投入する能力を減殺しようとしている」と指摘し、同省の取り組みを中国に集中させるべきとの立場を鮮明にした。

PDIでは、米国とロシアの中距離核戦力(INF)全廃条約(19年失効)で禁止されていた射程500キロ以上の地上配備型中距離ミサイルに加え、極超音速兵器、通常弾頭型のトマホーク巡航ミサイルや艦船発射型のSM6対空・対艦ミサイルの開発と配備に予算を投じるとした。

また、中国が潜水艦隊を増強させるなど西太平洋での米海軍の「接近阻止・領域拒否」(A2AD)を目指しているのに対抗し、対潜任務などを担う無人戦闘艦の開発と建造に向けた予算を増額した。

日本など同盟国への拡大抑止の一環として、24会計年度までに核爆弾搭載可能なF16戦闘機から後継である核搭載型のF35への切り替えを完了することも明記した。

同時に、中国による東シナ海や南シナ海などでの軍事行動を想定し、海兵隊が敵兵力の脅威圏の範囲内で戦闘を展開する「スタンドイン能力」の向上に向けた予算措置も取られた。

一方、核兵器の近代化に関しては、1970年代に配備された大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の後継となる、「地上配備型戦略的抑止」(GBSD)システムに21会計年度比12億ドル増の26億ドルを要求した。敵地深く侵入して核攻撃を行う新型の無人戦略爆撃機B21「レイダー」の開発予算にも30億ドルの予算措置を求めた。