原坂一郎の子育て相談

トラブルばかりを起こす4歳男児

 保育園で4歳児クラスを受け持っています。クラスに、多動で何をしても荒っぽい男の子がいて困っています。例えばロッカーから通園バッグを取ってくるだけでも、ロッカーを足で蹴って閉め、バッグを振り回しながら戻り、当たった子供とけんかをするなど、小さなトラブルがよく起こります。座れば椅子をガタガタさせ、バッグはチャックも閉めず中もグチャグチャです。彼の周りで毎日、何かが起こり、保育が円滑に進みません。保護者の方にわかってもらいたく、話もしましたが、「家ではしない」「3歳児健診では異常なしだった」と、聞く耳を持ってくれません。残り10カ月の保育に自信がなくなってきました。

 保育士時代の私のクラスにもそんな男の子がいたのであなたの苦労はよくわかります。そういった子供が今、増えているのも事実です。

保護者に伝えたそうですが、伝えた理由は何ですか? もしも、「現状の大変さを知ってもらいたい」「彼を何とかしたい」が目的だったなら、その気持ちだけが伝わり、「先生は迷惑がっている」「うちの子は嫌われている」と思ってしまい、それに反発する言葉が出たのかもしれません。

「何とかしたいのは自分のためではなく彼のため」と心から思えたとき、事態が変わってくるように思います。そうなるヒントは、その男の子を大好きになることです。彼に対するあなたの気持ちは、普段の接し方や注意の仕方などにも表れていて、彼にはもうしっかりと伝わっています。彼のことを大好きになれば、彼に対する見方がまず変わり、保護者に伝えるときも前とは違った伝え方になり、保護者もあなたの話に耳を傾けるようになるはずです。どんなときでも「現状を変えたいときはまず自分から」です。

大好きになる方法のひとつは、1対1でよく遊び、よく話をして彼のよい面をたくさん発見することだと思います。彼とのいい人間関係ができたとき、彼もあなたが大好きになり、行動も少しずつ変わっていきますよ。

(こどもコンサルタント)

原坂一郎(はらさか・いちろう) 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士。

子育てに関する悩みをお寄せください。原坂一郎先生が回答します。

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