免許再取得の制限強化、求められる実効性 わいせつ教員対策新法成立

わいせつ教員対策法が全会一致で可決・成立した参院本会議=28日午前、国会(春名中撮影)
わいせつ教員対策法が全会一致で可決・成立した参院本会議=28日午前、国会(春名中撮影)

児童生徒へのわいせつ行為などで懲戒免職となった教員に対する免許再取得の制限強化を柱とした新法が28日に成立した。今後は文部科学省で本格化する再交付の可否を判断する際の基準づくりが焦点となる。新法の趣旨に照らせば、子供に「心の傷」を負わせた教員を学校現場に戻すことは許されず、実効性のある制度が求められる。

新法成立を受け、文科省は基本方針の策定など制度の具体化作業に入るが、検討事項の中でも注目されるのが、再取得の可否判断をする際の基準だ。

教員免許の授与権は都道府県教育委員会が持つ。新法では教員から再取得申請を受けた場合、それを拒否できる「裁量権」を都道府県教委に与えるが、判断の際には公平性を担保するため、第三者で構成する「教員免許再授与審査会」の意見を聴くとしている。

そのときに判断基準の要素になるとして挙げられるのが、事案の重大性や被害者感情などだ。文科省の担当者は「あくまで、それぞれの要素を『総合的に判断』して決めるということ」と強調。判断基準の策定にあたっては「都道府県ごとに(類似事案で)判断にぶれが出ないような内容にする必要がある」とも説明した。

ただ、ある文科省幹部は「『判断基準』といってもそれは情状として見る対象ではなく、あくまで再びわいせつ行為をする恐れはないのかどうかを判断する基準だ」と指摘。再取得申請をした教員側には〝再犯〟の恐れがないことの立証が求められるというが、「それは限りなく難しい。事実上、復帰の道は閉ざされると言えるだろう。国も自治体も子供たちを守る責務がある」と語った。

内容「詰め甘い」被害女性懸念

中学校時代に男性教員からわいせつな行為をされた経験を持ち、今回の議員立法にも関わってきたフォトグラファーの石田郁子さん(43)=東京都=は28日、文部科学省で記者会見を開き、「この問題は何十年も動かなかった。新しい法律ができるとは数カ月前には考えられなかった」と一定の評価をした。ただ、具体的な内容には「詰めが甘い」と懸念も口にした。

これまで与党の立法チームによるヒアリングで意見を述べるなどしてきた石田さんは「評価できるのは条文に『性暴力』という言葉を使ったこと」と指摘。従来の「わいせつ」という表現について、「性的に人を傷つけているということが伝わらない」と語った。

一方、具体性に欠ける箇所が多く、「各自治体の教育委員会に任せている印象がある。しっかりした国のガイドラインもなく丸投げすれば混乱する」とした。

(福田涼太郎)

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