自民党は28日の総務会で、同性愛者など性的少数者(LGBT)への理解増進を図る法案の扱いについて、二階俊博幹事長ら党三役に一任することを決めた。6月16日に会期末を迎える今国会は審議日程が窮屈で、佐藤勉総務会長は総務会後の記者会見で「会期末までに成立させるのは不可能だ」と述べた。党幹部は今国会への提出を見送る考えを示した。
自民を含む超党派の議員連盟が提出を目指す法案をめぐっては、理解増進の点で自民内は一致していたが、与野党協議を経て加わった「差別は許されない」「性自認」との文言に批判が集まった。保守派は「訴訟の乱発を招きかねない」などと懸念を示し、たびたび議論が紛糾した。
28日の総務会でも約10人が賛否を述べた後、佐藤氏が森山裕国対委員長と末松信介参院国対委員長から国会審議の状況を聴取。佐藤氏は「タイトな(日程の)中で、法案を総務会として通す方向付けはできない」と判断し、党三役預かりとした。法案を扱う内閣委員会は、政府与党が成立を目指す土地利用規制法案などの審議を抱えており、新たな法案の審議時間を確保するのは困難な情勢にある。
法案を推進し、与野党協議に携わった自民の稲田朋美元防衛相は記者団に「私はあきらめていない」と述べ、今国会での成立を目指す考えを強調。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「残念だが、希望を捨てていない。自民は法案の提出、成立に向けて努力してほしい」と語った。