【Dr.金のとちぎカルテ】宇都宮駅東口開発、地元経済界の協力不可欠 - 産経ニュース

メインコンテンツ

Dr.金のとちぎカルテ

宇都宮駅東口開発、地元経済界の協力不可欠

複合開発が進む宇都宮駅東口
複合開発が進む宇都宮駅東口

JR宇都宮駅東口「宮みらい」で進行中の建設工事は、コンベンションセンター(宇都宮市指定管理)、国際ホテル+オフィス、商業ビル+ビジネスホテル(住友商事)、高度専門病院(宇都宮脳脊髄センター)の4つからなる複合開発である。

宇都宮の周囲に展開する企業群の研究開発を支え、学術芸術の交流、並びにツーリズムの拠点となるプロジェクト(シンフォニー)として、市の募集選考を経て指定された。開発の意図からして、事業の中核には、海外要人が泊まることのできる国際級ホテルが欠かせない。地域が長く必要としてきたもので、選考においても重要な条件であった。新型コロナウイルス感染症のため、現在はホテルの事業性の見通しが難しくなっているが、国内需要と国際交流が回復するときを考えて、時間をかけてでも実現させる責任が求められていることは、前回書いたとおりである。

国際ホテルの事業組成にはいくつかのパターンがある。もっとも一般的で典型的なものはマネージメント・コントラクト(MC)と言われる図式である。MCのパターンでは、ホテルのブランドと、ノウハウ、支配人、レストランなどの施設の責任者を持ち込んでホテルの運営を担う「オペレーター」と、建物を保有・維持し、事業主体として一般経費、雇用・人件費など収支の責任を担う「ホルダー」とが、分立する。オペレーターはホルダーからホテル事業収入の一定割合を徴収する。ホルダーが建物を調達するのには、資金を集めて新築する場合もあり、または賃貸したうえで内装を施す場合もあるであろう。新築後しばらくして軌道に乗れば不動産投資信託(REIT)に売却して、その関連の運営会社に事業を移すケースもある。客室などの家具調度の整備もホルダーの責任である。

われわれコンソーシアムの当初の予定では、ある国内企業がホルダーとなってタイの高級国際ホテル「Dusit Thani」をオペレーターとして招致する予定であった。ところが感染症もあってホルダーの資金調達が困難となり、事業組成が完遂できなかった。この経過について一部メディアでは「Dusitの資金難のため」と報じられたが、実際は異なり、あくまでホルダーの資本組成の問題であった。

現在、われわれのコンソーシアムでは、ホテル業界を専門とする海外資本のコンサルタント会社とも相談しているが、宇都宮の国際ホテルの将来性評価は悪くはない。もちろん、規模や価格設定などを適正な事業規模に合わせていく必要はある。

改めて最大の課題は、ホルダーの組成と資本形成である。幹事である野村不動産とコンソーシアムのメンバーの協調協力はもちろん、さらに地元の経済界との協力の中で実現させることが望ましい。まず地道な努力を積み重ねてホルダーを形成する機運を高める努力をする必要と責任があると考える。地元の皆さまに広く関心を持っていただいて、重ねて大切な支援をいただけるようにお願いしたい。(脳神経外科医 金彪)

きん・ひょう 脳神経外科医。東大医卒、米ミネソタ州のメイヨークリニックにて6年間研修。平成11年独協医大主任教授、令和3年宇都宮脳脊髄センター専任勤務。趣味は音楽。宇都宮音楽芸術財団理事長として、室内楽の定期演奏会を毎月開催している。65歳。