鑑賞眼

Kバレエ「ドン・キホーテ」 飯島望未が初出演

「ドン・キホーテ」のキトリを踊る飯島望未(Hidemi Seto撮影)
「ドン・キホーテ」のキトリを踊る飯島望未(Hidemi Seto撮影)

16歳から海外のバレエ団で活躍してきたバレエダンサーでファッショニスタとしても知られる飯島望未(いいじま・のぞみ)が今月20日、「ドン・キホーテ」のキトリ役でKバレエカンパニー(芸術監督・熊川哲也)に初登場した。

飯島の強靭(きょうじん)なテクニックを存分に堪能できる舞台だった。第1幕では、思いっきり背中を反らせる跳躍や一歩ずつ回転しながら対角線上に移動する「リエゾン・ド・ピルエット」を披露。

そして第3幕のコーダで見せる「グラン・フェッテ」はくるくると何回転もしながら足を曲げ伸ばしする大技だが、普通は32回転。しかし筆者が舞台を見ながら数えたので正確ではないが、飯島のグラン・フェッテは40回転を優に超えていた気がする。

飯島のキトリは街娘らしく小粋でキュートで、スペインの青空を思わせる爽快感を漂わせていた。飯島は今年8月にKバレエへ正式入団することが決まっている。

相手役のバジルを演じたのは、山本雅也。熊川哲也の〝秘蔵っ子〟との呼び声も高く、踊り方も熊川を彷彿(ほうふつ)とさせる。飯島との掛け合いも小気味よく、2人のパートナリングも良かった。

2人の花売り娘を演じた成田紗弥(なりた・さや)と毛利実沙子の踊りは、完全にシンクロしていた。 萱野望美(かやの・のぞみ)のキューピッドは軽やかでかわいらしかった。

Kバレエで「ドン・キホーテ」が上演されるのは約3年ぶり。熊川哲也版は他のバレエ団が上演する「ドン・キホーテ」とは振り付けだけでなく、演出や衣装もひと味違う。キトリといえば真っ赤な衣装が定番だが、Kバレエでは第3幕に登場するキトリは白い衣装を身に着けている。

ステージセットも豪華で立体的。舞台上でメインダンサーたちの踊りだけでなく、舞台の脇で金持ち貴族のガマーシュがコミカルな演技を繰り広げていたり、2階の窓から女性が見下ろしていたりと舞台のどこを見ても登場人物たちの生き生きとした演技が目に入ってくる。見どころ満載でとにかく明るく陽気な舞台だった。

5月19~23日、東京都渋谷区のBunkamuraオーチャードホール。(水沼啓子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。