【ワシントン=塩原永久】米通商代表部(USTR)のタイ代表と中国の劉鶴副首相が26日、貿易協議をオンラインで開いた。USTRによるとタイ氏は、両国の貿易関係の重要性を指摘する一方、劉氏に「懸案事項」を伝達した。バイデン米政権下で貿易分野をめぐり米中の閣僚が会談したのは初めて。
USTRの発表によると今回の協議は「顔合わせ」との位置づけ。「率直に意見交換」したとしている。
タイ氏は会談で、バイデン政権が掲げる「労働者中心の通商政策」について説明。USTRが対中通商政策の見直し作業を進めている途中だとも伝えた。
その上で、米政権が抱く複数の懸案事項を取り上げたとしている。具体的な内容は不明だが、中国による知的財産権侵害などの不公正慣行や、新疆ウイグル自治区の強制労働問題が言及された可能性もある。
タイ氏は劉氏との再会談を「楽しみにしている」と中国側に伝えたという。
米ブルームバーグ通信によると、米中両政府は25日に事務レベル協議を開催。その際に中国側は、米国が中国からの輸入品に課している制裁関税の見直しを求めた。バイデン政権は対中制裁関税について、当面は維持する方針を表明しており、中国側の反発が根強かった。
米中貿易関係をめぐっては、トランプ前米政権下の昨年2月、「第1段階」貿易協定が発効。中国は米国から巨額の農産品や工業製品を輸入すると約束。知的財産権保護などの構造改革を進めることに合意した。
協定は半年ごとに閣僚級会合を開き、進捗(しんちょく)を点検する内容だったが、昨年8月を最後に開かれていなかった。