【健康カフェ(201)】自動車事故と薬の関係 - 産経ニュース

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健康カフェ(201)

自動車事故と薬の関係

車の安全技術の向上や、飲酒運転の減少などで自動車事故は減ってきているようです。誰も事故を起こそうと思って運転するわけではありませんが、運転の頻度や距離が増えればそれだけ事故を起こす可能性も高まります。服薬も関係する場合があります。

高血圧で通院し始めた50代後半の男性患者さんが、睡眠導入剤の処方を希望されました。以前に通院していた医院でも処方してもらっていたそうです。早朝から移動しないといけない仕事やゴルフがあるときに、前夜に内服してしっかり眠りたいから、とのことでした。まさかとは思いつつも、その移動手段を尋ねたところ、自身で運転する車だということでした。

風邪薬や花粉症の薬を飲むと日中に眠気やだるさが出ることがあるのはよく知られていますが、夜に服用した睡眠剤などが、朝には体から抜けていると自分では思っても、注意力や判断力に影響を及ぼす可能性は否定できません。

そのことを示すような研究結果が発表されています。

この研究では自動車事故を起こしたカナダ人70万人余を対象にしており、その事故に対して責任のあった人を症例群、責任のなかった人を対照群としています。そしてそれぞれの群で薬の服用の有無と事故を起こす割合を調べ、症例群と対照群で比べることで服薬が事故に関係していたかどうかを調べたものです。

結果は鎮静系抗精神病薬で35%、長時間作用型の睡眠剤・安定剤の服用で30%、短時間作用型の睡眠剤・安定剤でも25%、麻薬性鎮痛薬で24%、事故率の上昇が見られました。また医学的に必要な治療薬として投与されているものでは、パーキンソン病やてんかんなどに対する神経系に作用する薬剤で2~8割程度の事故率の上昇が見られています。

こういった薬剤を服用していると事故を起こす確率が高くなることを知り、運転もしくは不要な服薬を控えることができれば、確実に事故を減らすことができると言えます。睡眠剤を服用して、効果が出ている間に運転しようなどという人はまずいないでしょうが、抗不安薬や麻薬性鎮痛薬を含め、これらの薬を使っているときには、眠気や集中力の低下といった自覚がなくても運転は控える方がよさそうです。先ほどの男性患者さんにもこういったお話をしたところ、「事故は怖いので薬はやめておきます」と帰っていきました。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)