朝晴れエッセー

スーパーにて・5月25日

「安い物は買ってから後悔すべし」というのが私の信条である。

都会のマンションには物を置くスペースは少なく、大量に食べ物を買っても冷蔵庫か胃袋に入れるしか対処法がない。

トマトを1箱300円で買ったときはできる限りを鍋で煮込み、残りは冷凍庫に入れた。イワシが1箱300円だったときは必死にさばいたが、さすがに50匹は多すぎるので近所にもらってもらった。

今まで一番お得な買い物は2匹で1300円のスッポンだった。あのときはインターネットでさばき方を調べたが、切れない包丁を手にスッポンを飼うことを真剣に考えたものだ。

少し前には10キロの魚(ブリ)が千円で売られていた。あまりの大きさにかなり迷ったが「買わなあかんやろ」と自転車の前かごに突っ込んで家まで走って帰った。

マンションの自転車置き場から魚をお姫様だっこして家に入るのが一番恥ずかしかった。

そして先日はキャベツを1箱8玉入りで80円で買った。でもコロナ禍で買い物の回数を減らすためすでに冷蔵庫は満杯だし、わが家にはモンシロチョウの幼虫もいない。誰かにおすそ分けしたかったが、過去にイワシを持っていった隣人にはキャベツは買ったと断られた。

買っても困ってしまう大安売りの食材。でもこれまでに買ったことを本当に後悔したことはない。たとえ親の敵(かたき)のように3日間それを食べまくったとしても。

これが家計を預かる者の進む道だと、豪快に誇って生きている。

川瀬彰子 44 大阪市福島区