勇者の物語

投手出身監督「落とし穴」3連敗 虎番疾風録番外編233

九回、力尽き降板する阪急・三浦(右)=西宮球場
九回、力尽き降板する阪急・三浦(右)=西宮球場

■勇者の物語(232)

4月27日、西宮球場で阪急―近鉄4連戦が始まった。初めての梶本VS西本の〝師弟対決〟。前期の命運をかけた「天王山」。口数の少なくなった梶本監督とは対照的に西本監督はなんだか楽しそう。

「気持ちのうえではタイや。どっちが有利ともいえん。阪急はホームゲームという利点はあるが、自分のところの庭で初っぱなから荒らされたら逆にカジ(梶本)は慌てよるで」

昨シーズン(昭和53年)の対戦成績は近鉄の14勝10敗2分け。「もう負ける気はしない」と選手会長の佐々木も豪語していた。その余裕が…。

◆第1戦(27日)近鉄7―0阪急

近鉄が五回に小川の3ランで山田をKO。投げては柳田が5安打完封。

◆第2戦(28日)近鉄9―4阪急

近鉄が一回、1死一、二塁でマニエルが左中間二塁打。栗橋の右前打で一、三塁とするとアーノルドが右翼へ3ランを放ち阪急の先発・稲葉をあっさりKO。そして第3戦―。

◇4月29日 西宮球場

近鉄 100 000 003=4

阪急 100 001 000=2

(勝)太田幸2勝 (敗)三浦1勝1敗

(本)小川④(三浦)加藤英⑥(太田幸)

ゴールデンウイーク最初の日曜日、そして阪急・三浦―近鉄・太田幸の〝殿下〟の新旧対決。西宮球場には3万8000人の大観衆が詰めかけた。

1―1で迎えた六回、阪急は加藤英の6号本塁打でリードを奪った。八回まで三浦に4安打に抑えられていた近鉄だったが九回、アーノルド、栗橋の連打で無死二、三塁のチャンス。阪急はここで抑えの山口をリリーフに送ったが、有田修の中犠飛で同点にされると、梨田―永尾―平野の3連打で痛恨の3失点。

報われなかった三浦の152球。梶本監督は「山口の投入はもっと前から考えていた。でも、三浦が良すぎたから…」と肩を落とした。継投の遅れ―は、先発投手を大切に思う投手出身の監督ゆえの〝落とし穴〟。そして選手に優しい梶本監督の〝弱み〟でもあった。

「3連勝、信じられんわ! 勝因? 栗橋のヒットでアーノルドが三塁まで走ったことや」。西本監督の豪快な笑い声が近鉄ベンチに響いていた。(敬称略)

■勇者の物語(234)

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