朝晴れエッセー

巣ごもりで見つけた宝物・5月24日

コロナ禍が続き、まだまだ自由にはなれない。でも巣ごもりにもいいことがあった。日頃引き出しの中を見ることもなかったが、探し物のついでに整理をした。

引き出しの奥から、手作りのキーホルダーが出てきた。

「おかあさん、お誕生日おめでとう。6年2組」の添え書きの紙に包まれていた。拳をあげて頑張ろうをしている格好の陶器の手作りだ。

釉薬(ゆうやく)でキラキラ光っている。私の好きな群青色だ。図工の時間に先生の指導で作ってくれたものである。うれしくて大切にとっていたのだと思う。でも40年近くたつと、そのことをすっかり忘れていた。

親一人子一人の生活で、私は子育てと仕事に夢中な日々を過ごしていた時期だ。

子守をしてもらうつもりで入れた塾に息子は通っていた。進学塾だったので勉強が難しく親子で涙したことも度々であった。残業ができずに仕事を家に持ち帰って、息子が寝てから頑張った思い出がある。

そんな頃にくれたキーホルダーである。成長がうれしくて大切に大切にしまっていたのだと思う。

今、息子のつたない文字を眺めながら思わず涙ぐみそうになる。夢中で生きた親子の絵模様が懐かしくよみがえってくる。

現在、息子は1児のパパとなって仕事に、家庭にと頑張っている。私は好きな俳句を楽しむ日々を送れるようになった。

巣ごもりで見つけた宝物。感謝の思いでいっぱいになった。コロナに負けずに頑張りたい。


石部洋子(80) 兵庫県尼崎市