話の肖像画

演出家・宮本亞門(63)(7)いろんな話を医師に、解放された心

《医師が話を聞いてくれるのがうれしくて、その後1週間、毎日続けて通った》

僕はずっと周囲の人間と話や関心事が合わない、感性が違う…ということで苦しみ、揚げ句に対人恐怖症のようになっていました。だから先生が話を聞いてくれたことがどれだけ、うれしかったことか。そのうちに先生だけじゃなくて、インターンの人たちまでたくさん集まってきて、僕の話を面白そうに聞いてくれる。おそらく、そのころはまだ「ひきこもり」とか、「不登校」といったケースが珍しかったのでしょうね。話を聞いてもらったことで僕はどんどん解放され、ラクになっていった気がします。

結局僕は、「何をやってもダメだ」と悪循環に陥り、答えが見つからない暗闇の中をグルグル回っていたんだと思う。両親も僕のことで苦しみ、家庭内もメチャクチャになったけど、愛情をもって接してくれた。子供のことを否定したり、他の子供と比べたりせずに、焦らずに長い目で見守ってあげることが大切なんだと思います。僕の場合でも、後でおやじが「人生は悩んでいるには短すぎるんだ」と言ってくれたけど、そうした言葉も救いになりました。(聞き手 喜多由浩)

(8)へ進む