【カイロ=佐藤貴生】イランのガリバフ国会議長は23日、2015年の核合意に基づき国際原子力機関(IAEA)に認めてきた限定的な検証・監視活動が期限切れを迎えたため、協力を打ち切ると見通しを述べた。検証・監視活動はイランの核開発の実態把握に欠かせない重要な意義がある。イランはウィーンで近く再開見通しの米国との間接協議に向け、経済制裁の解除に向け米国への圧力を強める狙いとみられる。
ロイター通信によると、今月22日以降、IAEAは核関連施設に設置された監視カメラのデータに「アクセスできない」とガリバフ氏は述べた。
イランは2月21日、IAEAの未申告施設への抜き打ち査察受け入れを停止すると表明する一方、限定的な検証・監視活動を3カ月に限り認めると表明。米制裁解除に向け政治対話を求めるシグナルと受け止められていた。
IAEAは期限切れ直前に期間の延長を求めてイラン側と協議しており、グロッシ事務局長は23日、協議結果について記者会見する予定。
イランと米国は4月上旬、他の核合意当事国の立ち合いの下でウィーンで間接協議を開始。イランは今月11日、核兵器級にさらに近づく濃縮度63%のウラン製造が判明するなど、核合意に逸脱する行為を続けている。
イランでは大統領選(6月18日投票)の選挙戦が今月末から始まるため、関係諸国は協議の決着を急いでいる。一部の国から協議の進展を示す発言が出る半面、「非常に困難な課題がなお残っている」(英仏独)との見方も出ている。