宮城県白石市の小学校で、折れた防球ネットの支柱によって児童2人が死傷した事故から、27日で1カ月。その後の市の調査でも、防球ネットの設置者や正確な設置時期がわからないなど課題が浮き彫りになった。市は今後、事故調査委員会を設置して真相解明を進めるが、専門家は「(学校設備の)統一した点検の指針を示すことが必要だ」と指摘する。(塔野岡剛)
設置の記録なし
事故が発生したのは、4月27日午後3時ごろ。白石市立白石第一小学校の男子児童6、7人がネットを引っぱっるなどして遊んでいたところ、高さ約6メートルの木製の支柱が根元から折れ、6年の松野翔慎さん=当時(11)=と別の男子児童に直撃した。頭を打った松野さんは搬送先の病院で死亡。もう1人の児童もあごを骨折するなどの重傷を負った。
事故翌日に白石市教育委員会が開いた会見で、半沢芳典教育長は防球ネットの設置者、設置時期について「記録が残っていない。校庭を使う団体が設置したものだと推察している」と述べるにとどまった。
市教委によると、折れた支柱の点検は、約2週間前の12日に教職員が目視や触診で行い、異常なしとされていた。半沢教育長は「(教職員による)点検を毎月行っていたが、(市教委への)報告は求めていなかった。校長が(点検結果を)記録し、不具合があれば市教委に報告するという運用だった」と説明した。
学校敷地内にある設備は、設置者が誰であろうと学校に安全管理の責任があり、学校が安全点検を日常的に行っている。ただ、防球ネットは遊具ではないため文部科学省の指針に基づく専門業者による点検の「対象外」で、教職員による点検に委ねられていた。